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うふふナチュラルライフ

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長年の勘がものをいう豆腐づくり     

     マニュアル通りなのに固まらない!

イラスト
イラスト・さかいひろこ

 なぜ豆腐というのは四角なのだろう。どうせ食べる時は崩してしまうのだから、あんなに整った形にしなくてもいいのだ。見た目はぐちゃぐちゃだって美味(おい)しければそれでいいじゃないか!

 また豆腐作りに失敗したので言い訳がましく理屈をこねてみた。大豆から畑で栽培し、草を手で抜き、手作りの竹酢液をふりかけ、そもそも土づくりだって手作り堆肥(たいひ)で行い、手で刈りとった後、ガーコンで豆を分けて乾燥させ、1年がかりで育てたのは美味しい豆腐が食べたい一心からなのに、また固まらなかった。悲しい。

 今、豆腐はかわいいザルの上でダラッとしている。ザル豆腐と言えば聞こえはいいが、この調子で固まらなければ、ほとんどザルの目に詰まってしまうだろう。ザルの上でこんもり盛り上がるから豆腐と呼べるわけで、私のは明らかに失敗作だ。

 去年も同じことだったので、今回はストップウオッチと温度計を使い、ミキサーにかけるところから、豆乳の火かげん、ニガリの温度とうつタイミングまで完璧(かんぺき)に計り、コンピューターのように精密な豆腐作りを行ったはずだった。もちろん豆とニガリの量もマニュアル通り。しかし結果は無残。マニュアルなんてあてにならないものなのだ。頭に来たから丸めて薪ストーブにくべてやるーーー。

 田舎のお年寄りを見ていると、実に淡々としたペースで、これといった計測器を使わず、みごとに豆腐を作ってしまう。長年の勘というやつだ。特に“手かげん”というのがどうも違っているらしい。ニガリをうってから慌ててかきまぜるのではなく、先に鍋の中で流れを作っておいてサッとニガリを散らす感じ。すると豆腐は素直に固まり、たちまちうわずみが澄んでくる。そうなるやいなや、かきまぜていたヘラを流れに立て動きを止めると、豆乳は速やかに豆腐へと変わるのだった。たぶんあのおばあさんは目をつぶっていても上手に豆腐を作れるのだろうな。ヘラから手に伝わる感覚だけで。

 断っておくが、私の豆腐も甘みがあって味はすごく美味しいのだ。ただ固まらなかっただけだもーん。

(タレント・エッセイスト)

(2004年1月14日朝日新聞東京本社夕刊のマリオン紙面から)

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