左の腰に、生まれて初めて歩数計をつけて歩いている。『世の中ガブッと!』(テレビ東京系、日曜夜6時半放送)で、今度ウオーキングについて取り上げるためなのだが、不思議なもので、歩数計をスカートのウエスト部分にパチンと挟んだとたん、急に老け込んだ気がした。こういうものは、年をとったら健康管理のために使うものだという先入観が私の中にある。駅の階段をかけ上がったり、衣装を買い集めるのに一日中デパートをはしごしたり忙しく動いているうちは必要ないと思っていた。「高木さんは農作業やってるから運動不足はありえないでしょう」なんて周囲の人たちからおだてられ、自分でもそんな気になっていたが。
初日。那須の家を出発し新幹線で東京駅へ。そのままホテルに向かい荷物を預けてテレビ局、仕事の後は英会話スクールに行ってから、山手線に乗って知人宅。その後ホテルへ戻った。丸一日よく動いたから、さぞや歩数計ちゃんもたくさん数えているだろうとワクワクしながら見ると、なんと7048歩。1万歩に届いていなかった。おかしいなあ。体はけっこう疲れているのに。この歩数計壊れているんじゃないの?とお風呂の中で振ってみる。カチカチカチカチと軽快な音が100回。これを誤差分として足して、今日は7148歩歩いたことにした。うふふ。
翌日は那須で農作業。堆肥(たいひ)の切り返しの日である。巨大なフォークで水を含んだ枯れ葉の山をひっくり返してはかき混ぜ、ひっくり返してはかき混ぜ−−。汗だくになるほどの重労働、これだけ体を使えばさぞや歩数計の数字を稼いだはずと楽しみにしていたのだが、結果は、あれれ?!たったの2020歩ぉ? 東京にいるときより少ないではないの。がっかりである。どうやら運動と労働は違うということらしい。一番の差はリズムがあるかないかだろう。たぶんそれがストレス解消に大きな効果をもたらすのだ! 結論−−働く時はリズムのある動きをすることで仕事はもっと楽しくなるでしょう。そう言えば、昔から農作業には歌がつきものだものなあ。あれは労働のつらさをやわらげるテクニックでもあったのだなあ。最初はバカにしていた歩数計だが、つけてみたら意外と勉強になったのであった。
(タレント・エッセイスト)