菅原文太が言った。「わしゃのう、『目玉のオヤジ』になりたかったんじゃ」
その目は笑っていなかった。「あ、いい人かも……」
映画「妖怪大戦争」の初顔合わせ。超大物役者が放つオーラに押しつぶされそうな私の心がスッと軽くなった。
「しかし菅原さん、目玉のオヤジはフルチンですよ。映倫が黙っちゃいません」
「なにを言うちょるんじゃ。そんな時こそCGを使わんかい、コンピューター・グラフィックスを」
「は?」
「ちっちゃい子供のチンチンにしたら映倫も黙っちょるじゃろが。ハサミとデジタルは使いようじゃけん」
ってこれ、本当にあった会話なんですよ。〈注〉言葉遣いが広島っぽいのは、その方が伝わりやすいのではないかという私の判断で、勝手にアレンジさせて頂いています。
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「目玉のオヤジ」はぜひ次回作でということになり、快く「断続的認知症高齢者」という役をお引き受け頂いた。あ、映画的に表現しますと「まだらボケ」の老人役ですね。
「そりゃ楽でええわい。地でいけるけんのぉ」
「そんな」
「ともかくビール。この出会いに乾杯じゃ」
その目が優しく笑った。
「……カッコイイ」
私は「妖怪大戦争」の成功を確信した。小心者の特徴を生かして、ちょっとしたことで小さな心は満たされ自信にあふれる。その根拠について分析はしない。そのまま前に進むのだ。
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かくして撮影が始まった。鳥取県・境港ロケ。菅原文太を迎え撃つのは、主役の天才子役・神木隆之介、魔人・豊川悦司、妖女・栗山千明、妖怪オタク・宮迫博之、カッパ・阿部サダヲ、ぬらりひょん・忌野清志郎、油すまし・竹中直人……って、これどんな映画だよ