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2005.5.12(木)更新
三池崇史のシネコラマ

 第5回  「秘め事」
 私は今、プラハにいます。重い歴史を背負った趣のある小さな街。すてきです。しかしここも観光という人間の性(さが)に蝕(むしば)まれ、土産物屋が立ち並び、気分は修学旅行。その賑(にぎ)わいはうれしいような悲しいような、ちょっと複雑な気分。

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 で、なんでプラハかっていうと……。書けません。書いてはいけないのです。というのも、映画業界にも世間並みに秘匿義務のようなものがあって、「今こんな撮影をやってる」とか「次の企画はこれだ」とかをプロデューサーの許可なく公に発表するのは禁じられているのです。
 「けっ、たかが娯楽。大した秘密なんかねぇくせによう」と、常々私も思っているのですが、これでも大人の端くれ。ルールを守って生きております。しかし、その秘密のスケールの小ささにストレスがたまるわけです。せめて秘め事っていうやつは、「フジテレビを裏技で買収しちゃうぞ」ってぐらいダイナミックじゃないといけません。ストレスで死にたくな〜い。

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 「で、なんでプラハに?」
 「だから、しゃべっちゃ駄目なんだって……」
 「それは公にだろ。友達との会話は別でしょ」
 「あ、そだな。誰にも言うなよ。実は……」という展開に。まぁ、こんな感じで5人に話せば十分でしょうか。すると「ナイショ話」は独り歩き。で、3日ほどたちますとインターネットの掲示板「2ちゃんねる」デビューってわけだ。情報を守る義務のない人が気軽に書き込んで晴れて公の場に秘密さんが登場って仕組みです。で、プロデューサーが「なんで2ちゃんねるに」と泣いているのでこう言って慰めてあげます。
 「いやぁ、私も驚きました。誰が書き込んだ、許せないなぁ。でもね、人の口に戸は立てられないってことなのかもしれませんね」
 こうやって私は生き延びている。

(2005/5/12)

みいけ・たかし

 60年生まれ、大阪府出身。今村昌平、恩地日出夫監督らに師事。95年「新宿黒社会」で劇場映画監督デビュー。「岸和田少年愚連隊 血煙り純情篇」(97年)、「ゼブラーマン」(04年)など、ジャンルを超えた話題作を世に送り出す。現在、05年夏公開予定の「妖怪大戦争」を製作中。

 

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