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2005.9.29(木)更新
三池崇史のシネコラマ

 第24回 「哀川翔の言葉から」
 先週も少し触れましたが私は今、哀川翔と共に映画と格闘しています。鋼の拳を持つ作家、真樹日佐夫原作・脚本の映画「ワル・最終章」の撮影現場。もちろん、哀川翔は主人公である氷室洋二という昭和なワルを演じている。木刀を背中に忍ばせた屈折した憂国のアウトローというかなり複雑で暴力的な役柄だ。

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 「ワル」っていうのは70年「週刊少年マガジン」にて連載開始、その後「新書ワル」「ワル正伝」と35年もの間、描かれ続けてきた執念の漫画なのですよ。それがいよいよ「最終章」をむかえ、哀川翔と私の出番となったわけだ。共演者に松坂慶子、石橋凌などの強烈な個性を招き、現在撮影は佳境をむかえている。
 「うぅ、休みたい……」
 佳境をむかえちゃってるもんだから精神的にも肉体的にもギリギリの線まで追い込まれているわけで。暑かった夏の疲れもどっと押し寄せ、立っているのがやっと、って感じ。
 「俺(おれ)はもうだめだ。目覚まし時計をぶっ壊して、起きるまで寝ていよう」となったとき、一冊の本を手に取る。哀川翔の「翔、曰(いわ)く」だ。そこには、哀川翔の素敵(すてき)な言葉があふれている。文章ではなく、言葉だ。ありがたいお言葉集だ。最近のお気に入りは、「SHOW LONELY RIVER」という本に収録された「翔、曰く Part2」の言葉、「いちばん最初には倒れたくないタイプでね」。
 これだ。キャプションによると一世風靡(ふうび)セピア時代、肉体的に限界を超えた状況で毎晩飲んでも誰も倒れなかった。飲むという行為は、それぞれの根性をかけた我慢比べだった、とある。必死にふんばってた若かりしころの言葉らしい。

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 なんか、「そうだよ。自分に負けてたまるか」ってなっちゃうんだよね。「哀川翔より先に倒れない」ってね。 

(2005/9/29)

みいけ・たかし

 60年生まれ、大阪府出身。今村昌平、恩地日出夫監督らに師事。95年「新宿黒社会」で劇場映画監督デビュー。「岸和田少年愚連隊 血煙り純情篇」(97年)、「ゼブラーマン」(04年)など、ジャンルを超えた話題作を世に送り出す。

 
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