「カンフー映画以外はクソだ!」
そう信じていた。あの日、あの映画を見るまでは……。
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1975年・冬。当時、私は15歳。勉強が嫌いで無免許ながらバイクを愛するかわいい少年だった。
「たまには違う映画も見よか」と背伸びして、リバイバル公開されていたチャプリンの 「街の灯」目当てに街に出た。思春期だからね。しかし、チケット売り場のおばちゃんは言った。
「立ち見でっせ」
「ほんなら少しマケて」
「あかん。立っても座っても値段はいっしょや」
「俺、ブルース・リー以外は立っては見られん男や」
プライドが許さなかった。
「それにこの映画、色付いてへんがな。そんなもんに金出して、立って見るほど暇ちゃうねん」
本当は暇だった。名作に拒絶されたような寂しさを覚えた。孤独から逃れるために、隣の映画館に逃げ込んだ。看板にはチェーンソーを手にした皮マスクの男が……。
「うっ。なんで金払って怖い思いせなあかんねん」
しかし、孤独に勝る恐怖はなかった。
「座れますか?」
座れた。タイトルは「悪魔のいけにえ」。スレッジハンマーで頭を割られ、チェーンソーで切り刻まれた。震えながら私はつぶやいた。「お、面白い。映画って、ごっつおもろいがな」
トビー・フーパー監督のデビュー作であった。
それから30年。雪の「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭」で、トビーと共に舞台に立った。彼は私に言った。「キミの新作『IMPRINT』すごく怖かったよ。おかげで昨夜は眠れなかった」
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30年かけて私はリベンジを果たした。あの日、「街の灯」に拒まれなければ、この日は来なかっただろう。