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2005.10.19(水)更新  日本音紀行 もうひとつの風景

 
江ノ島 (神奈川県)

海原の響き、信仰と一に
波の大小で洞窟内に響く潮騒も変わる
=神奈川県藤沢市、江の島岩屋で(撮影・上田頴人)

【交通】JR藤沢駅から小田急江ノ島線に乗り換え片瀬江ノ島駅下車徒歩15分。車は東名道厚木インターから約1時間。
 江の島は、音を祀(まつ)る島である。

 鎌倉幕府を開いた源頼朝は、戦勝を祈願し、江島(えのしま)神社に弁財天を祀った。その同じ社殿に「妙音弁才天」も安置されている。白い肌で琵琶を抱く音楽・芸能の神で、江戸時代に歌舞伎関係者の信仰を集めるなどして、こちらの方が有名になった。

 実は、弁天様が来る以前から、長く聖域として扱われてきたこの島は「音」と深い関係にあったらしい。

 「本当の御神体、本当の妙音は、岩屋に響く波の音だと思うんです」。江島神社総代の宇田川英男さんは言う。

 岩屋とは、相模湾を望む断崖(だんがい)にある洞窟(どうくつ)のこと。島の入り口に立つ青銅の鳥居から、ちょうど裏手にあたる。社伝には、この洞窟に神を祀ったのが神社の始まりとある。大海原のうなり声が、信仰と不可分だったことは容易に想像できる。

 宇田川さんは、かつての風景を懐かしそうに語る。「洞窟のなかは静かで、真っ暗で、太平洋から押し寄せる波の音だけが、ドカーンって何層にも反響するわけです」

 今の岩屋は、姿と趣を大きく変えている。夜光虫を模した光や、水音などの演出。電子音の雄叫(おたけ)びを上げる竜神の像まである。気持ちは分かるが、直接的な展示方法では遠ざかってしまうものもありはしないか。

 海の荒れた日に、目を閉じて波の響きに包まれる。《悪行を重ねた五頭の竜が天女に諭され、以来、人々を守るようになった−−》。島の縁起として伝わる竜神伝説の風景は、これでこそ味わうことができる。

(鳥越けい子)


 ◆江島(えのしま)神社

 辺津宮、中津宮、奥津宮の三社からなり、それぞれ三人姉妹の女神をまつる。辺津宮の奉安殿には、勝運守護を祈願して源頼朝がまつった八臂(はっぴ)弁財天とともに、裸弁天で知られる妙音弁財天も。江の島の弁財天は広島県の宮島と滋賀県の竹生島と並び広く知られる。午前8時半〜午後5時。奉安殿の拝観のみ150円、中高生100円、小学生50円。問い合わせは0466・22・4020。移動には登り専用のエスカレーターが便利(午前9時〜午後5時、(土)(日)は7時まで、350円、小学生170円)。問い合わせは江ノ島エスカー(問い合わせは0466・23・2443)。
 ◆江の島岩屋

 長さ152メートルの第一洞窟と112メートルの第二洞窟からなる。落石の危険により一時閉鎖していたが補修工事を経て93年に再開。第一洞窟手前で渡されるろうそくを片手に内部を見学できる。2カ所の岩屋を結ぶコンクリートの桟橋は満潮時でも歩行可能。第一洞窟には江戸時代の参拝者が持ち込んだという石像など、第二洞窟には竜神伝説に基づくオブジェなどを展示。午前9時〜午後5時(11月〜2月は4時まで、荒天閉洞)。500円、小中学生200円。問い合わせは片瀬江の島観光案内所(0466・24・4141)。
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