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2005.11.9(水)更新  日本音紀行 もうひとつの風景

 
那智の滝 (和歌山県)

沈思を誘う水煙と轟き
護摩木の煙が漂い、水しぶきの音が響く
=和歌山県那智勝浦町の飛瀧神社で(撮影・塚原紘)

【交通】JR紀伊勝浦駅からバスで約30分。車は、名古屋方面からは伊勢道勢和多気インターから約2時間。大阪からは阪和道みなべインターから約2時間。
 本州南端、紀伊半島のさらに突端近く。原生林の命の水を集める瀑布(ばくふ)が「那智の滝」である。

 落差133メートル、日本有数の大滝を拝むには、飛瀧(ひろう)神社の鳥居をくぐらなければならない。なにしろ滝そのものが「ご神体」なのだ。

 参道の石段を下りるにつれ、目の前にそびえ立つ杉木立の向こうに、透けるように滝の姿が見え隠れしてくる。さらに進むと、空から流れ落ちる巨大な水の柱とその轟(とどろ)きが出現する。岩肌には、水の影がゆらめいている。いつの間にか、滝の響きのただ中にすっぽりと包まれている。

 滝の正面には小さな鳥居。神社は本殿も拝殿もなく、滝を直接拝む形になっている。

 左手にある滝見台で、水煙のなかに立つ。白い水。布がゆらゆらするような、雪崩のような視覚的イメージと、音の渦の周期的な繰り返しが同調する。神とは自然の摂理、自然そのものが神−−。そんな「大自然の声」に、かすかな護摩木(ごまぎ)の香りが混じる。

 それにしても、東京ではどこでも耳にするカラスの鳴き声が聞こえない。この地に来て以来、像になり旗に描かれ、あちこちで見かける伝説の鳥、三本足のヤタガラスの鳴き声に想像を巡らせていたから、よけい気になるのだろうか。

 帰りのタクシーで話題にすると、「このへんじゃカラスがいたら、神様の使いがお迎えにきてくれたって喜ぶで」と、運転手さん。「東京のカラスに、お嫁に来るよう言っといて」。運転席から、陽気な声が返ってきた。

(鳥越けい子)


 ◆「世界遺産」になった紀伊山地
 三重・奈良・和歌山の3県にまたがる「吉野・大峯」「熊野三山」「高野山」の三つの山岳霊場とそれらを結ぶ参詣(さんけい)道は、04年7月に世界遺産に登録された。
 那智の滝をまつる飛瀧神社は、熊野那智大社の別宮。同大社は熊野本宮大社や熊野速玉大社などと並ぶ熊野三山の一つで、熊野信仰の聖地だ。

 ◆熊野古道まつり
 11月20日(日)、午前10時〜午後7時、三重県尾鷲市中川の特設会場(尾鷲駅から車)。約2千人が参加する「創作踊り」などのステージやパレード。鯛飯(たいめし)やサンマずしなど郷土料理を楽しめる大物産市も。19日(土)、午後2時半〜8時、前夜祭。郷土芸能のこども太鼓の披露など。問い合わせは実行委(0597・23・3447)。

 ◆ヤタガラスのお守り
 熊野那智大社には、熊野の神々の使いというヤタガラスの護符(500円)も。日本サッカー協会(JFA)のシンボルマークとしても知られる。問い合わせは同大社(0735・55・0321)。
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