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2005.11.30(水)更新  日本音紀行 もうひとつの風景

路面電車 (広島市)

鉦の合図、姿変え今なお
早朝の乗客を乗せて、路面電車が動き出した。リズミカルなモーター音が街の眠りを覚ます
=広島市の原爆ドーム前で(撮影・渡辺瑞男)

【交通】路面電車の運賃は市内中心部150円均一。全線乗り降り自由の一日乗車券は600円、宮島までの乗船券が付く一日乗車乗船券は840円。JR広島駅前の広電案内所で販売。TEL広島電鉄(082・242・0022)。
 軽く車体を揺らし、レトロな風情の路面電車が走り出す。地面への独特な密着感がある、懐かしい振動。時折、規則正しいリズムが床の下を移動する。

 いつのまにか耳は、もうひとつの音を探していた。車掌が運転手に「止まれ」と1回鳴らし、「発車オーライ」の合図で2回鳴らした鉦(かね)の音。チンチン電車の名の由来ともなり、この車内でも、かつて軽やかに響きわたっていたはずの音だ。

 しかし、ワンマン車両では、その合図も無用となった。代わりに聞こえるのは、客が運転手に降車を伝えるブザーの無機質な音……。

 失われたものに誘われ、歴史をひもといてみる。大正時代、広島の路面電車は幅18メートルの道路を引くことを条件に営業が許可されたという。街はチンチンという音と共に整備されてきた、と言えるかもしれない。

 電鉄会社も、そのあたりは心得たもので、新型車両を導入する傍ら、開業当初の電車を復元した車両や、大阪や北九州で使われなくなったものなどを走らせ、ファンの間で「路面電車の博物館」と称されている。

 実は古き良き「音」の方も、絶えてしまったわけではない。

 数年前に走り始めた緑色の車両に乗る。電子音のメロディーや小刻みなセンサー音。車掌と乗客の会話や小銭の音が聞こえる。埋もれるように、地味なブザーの合図も。5両連結なので車掌が乗務し、運転手への連絡も必要になったのだ。

 発車の合図は、やはり2回。チンチン電車の音の遺伝子を、こんなところに見つけた。

(鳥越けい子)


 ◆路面電車で広島観光

 【お好み焼きのメッカ】

 八丁堀下車。戦後、市中心部の新天地広場に集まったお好み焼きの屋台を引き継いだ専門店が商業ビルに集結した。「お好み村」(TEL082・241・2210)には27店舗、「お好み共和国 ひろしま村」(TEL082・243・1661)には5店舗が入店。種類豊富な広島風お好み焼きを味わえる人気のスポット。
 
 【原爆ドームと平和記念公園】

 原爆ドーム前下車。1945年8月6日、原子爆弾により県産業奨励館が外壁の一部と屋根の鉄骨だけを残す「ドーム」と化した。96年に世界遺産に登録された。外観見学自由。園内には広島平和記念資料館(TEL082・241・4004)や国立広島原爆死没者追悼平和祈念館(TEL082・543・6271)なども。TEL広島観光コンベンションビューロー観光振興部(082・247・6738)。
 【安芸の宮島】

 広島駅から宮島線で広電宮島口駅までは約1時間、連絡船で約10分。日本三景の一つ。海上に浮かぶように建つ厳島神社(TEL0829・44・2020)とその周辺は世界遺産に登録されている。日没から午後11時まで、社殿や大鳥居などをライトアップ。
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