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2006.2.1(水)更新  日本音紀行 もうひとつの風景

道後温泉 (松山市)

湯の街に時告げる太鼓
やぐらから毎日3回、刻太鼓が打ち鳴らされる。夕刻6時、6打の音が夜空に響いた
=道後温泉本館で(撮影・渡辺瑞男)

【交通】道後温泉は、JR松山駅から路面電車で約20分。松山空港からバスで約40分。車では、松山道・松山インターから約30分。
 ゆったりとした太鼓の音が、まだ暗い朝の空気を震わせ、街に一日の始まりを告げる。観光地として名高い道後温泉の、シンボルともいえる「道後温泉本館」。木造3階建ての屋根の上、赤いガラス障子に囲まれた振鷺閣(しんろかく)と呼ばれるやぐらから聞こえてくる。「刻太鼓(ときだいこ)」の音である。

 明治から大正初期までは1時間おきだったのが、徐々に回数が減り、今では日に3回。朝夕6時と正午に、3階接客係の女性が、時刻の数だけ打つ。「やっぱり朝の1打目が一番緊張しますね。入り口で待ってたお客さんが、これを合図に一番湯めざして走り出しますから」。そう話すのは、山崎華代さん。

 やぐらにラジオを持って上がり、時報にあわせて1打目のタイミングをとる。いい音のする場所をねらって、ばちは全身で打つ。間の取り方は、先輩の太鼓を聞いて覚えた。10年ほど前までは、朝の太鼓で「乱れ打ち」をする人もいたという。

 「今日は大寒じゃろがな。そのわりに、ぬくいなあ」。お風呂で地元の人たちとの会話を楽しんだ後、昼の太鼓は2階の大広間で聴いた。屋外で聴いた太鼓とは違う、ずっと深みのある音色。建物が楽器の共鳴箱のような働きをしているのだろう。

 最後の太鼓を待ったのは、3階にある休憩用の個室。階下からは浴場で桶(おけ)の響く音や、建具の開け閉めの音、通りを歩く人々の声などが聞こえてくる。

 この建物は言うまでもなく温泉施設。であると同時に、土地の音を奏で、土地の音に耳を傾ける場所でもあることを確認した旅だった。

 (鳥越けい子)


 ◆無料観光ガイド

 ボランティアガイドが、希望や予定に合わせて「道後温泉本館」「市立子規記念博物館」など道後の名所旧跡を無料で案内。当日の午前9時25分に道後温泉駅前の道後観光案内所(問い合わせは089・921・3708)集合。午前9時半〜正午。入館料は要負担。できれば予約を。
 
 ◆レトロな路面電車でのんびりと

 JR松山駅周辺から道後温泉まで、路面電車の路線を走る「坊っちゃん列車」。明治時代から昭和半ばまで走っていた列車を復刻。夏目漱石の小説「坊っちゃん」にちなんで名付けた。煙突から蒸気を出しながら時速10キロで走る。300円、小学生200円。市内電車、循環バス乗り放題の1Dayチケットとセットで500円、同300円。問い合わせは伊予鉄道(089・948・3323)。
 ◆小説「坊っちゃん」に登場した菓子店

 1883(明治16)年創業、「坊っちゃん」に登場した団子屋のモデルという「つぼや菓子舗」。「坊っちゃん団子」(5本525円から)は、抹茶、黄身、小豆の3色の餡(あん)で求肥(ぎゅうひ)を包んで串に刺した菓子。賞味期限は1週間なので土産にも。道後温泉駅前、道後ハイカラ通り内。午前9時半〜午後10時。(火)休み。
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