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2006.6.28(水)更新  日本音紀行 もうひとつの風景

 
秋吉台の鍾乳洞(山口県)

闇で味わう 地球の鼓動
洞穴内は常に気温17度で、大量の地下水がわき出ている。夏は絶好の涼地として人気がある=山口県秋芳町の秋芳洞で(撮影・渡辺瑞男)

【交通】秋吉台へはJR新幹線・新山口駅が便利。秋芳洞は同駅からバスで約40分。車は中国道・美祢インターから約15分。
 滝のとどろきの向こうに、大きな口を開けて川の流れをはき出す洞穴。足を踏み入れると、水の圧倒的な響きが渦巻く、広大な空間があった。四方八方から押し寄せる音が、岩陰の隅々にまで充満する。まるで地球の体内に抱かれて、その鼓動に包まれていくようだ。

 山口県の西部に広がる「秋吉台」は、石灰岩が雨水の浸食を受けてできた、特異な地形の台地をいう。地表には独特のくぼ地、そして地下には400を超える鍾乳洞がある。

 中でも最大規模を誇る秋芳洞(あきよしどう)。観光ルートになっている1キロほどを歩く。石灰成分の溶けた水が洞穴の天井から滴り、それが結晶化してできた様々な形の鍾乳石が、次から次へと姿を現す。

 やがて洞穴を流れる川から道がそれ、空間を覆い尽くしていた水流の響きが徐々に弱くなる。静けさが立ちこめ、そして気配が一変する。左右の岩から聞こえるかすかな水流や、パラパラと歌うような水滴の響きが、ひとつひとつ際だってくる。

 ただ、スピーカーから音声ガイドの声も聞こえてくる。どうにもいただけない。かつての探検家が体験したような「音」を味わってみたい。

 秋芳洞から出て、別の所にある自然のままの洞穴に入った。懐中電灯を片手に、狭いすき間をくぐりながら下りていく。しばらく進んだところで電灯を消す。完全な暗闇の中で、岩の後ろから、深く響く水滴音が聞こえた。耳を澄ますと、その音はさらに深みと長さを増す。暗闇と静寂は、感性をとぎすましてくれる。

(鳥越けい子)


 ◆秋吉台

 山口県西部の1市2町にまたがる石灰岩の台地。はるか太古に形成されたサンゴ礁が、地殻変動で押し上げられたものといわれる。一望できるカルスト展望台や、成り立ちを解説展示する秋吉台科学博物館などの施設も。
 ◆洞穴体験

 秋吉台で最大規模を誇る秋芳洞は、全長約10キロのうち、約1キロが観光コースに。午前8時半〜午後4時半。1200円、中学生950円、小学生600円。観光ガイドと歩く特別コースも(ガイド1人につき1時間1500円が別途必要)。3日前までに要予約。問い合わせは秋芳洞案内所(0837・62・0018)。7月23日(日)〜8月31日(木)、午後7時半から「闇のロマン探検」も。1週間前までに要予約。問い合わせは秋芳町観光商工課(0837・62・0304)。
 ほかに大正洞と景清洞にも観光コース。午前8時半〜午後4時半。1000円、小学生560円(2洞セットで1500円、同840円)。問い合わせは美東町役場観光課(08396・2・0343)。
 上記3カ所以外の洞穴は、ケイビング(洞穴探検)経験者同伴などの条件で入洞可。秋吉台科学博物館内の管理事務所に申請を。TEL0837・62・0640。


(2006年7月19日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)
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