
【イラストより】銅の板にタガネで刃を切っていく。手作りのおろし金は、刃が鋭く、シャキシャキとおろせる。
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第4回 おろし金
 東京都葛飾区 |
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荒川の堤は日差しがいっぱいだった。地盤が低い小菅、堀切地区を守るように築かれた高い土手を駆け上がると、明るい河川敷が広がっている。
東京都葛飾区。奥秩父の甲武信ケ岳を源流とする荒川がのどかに流れている。遠い対岸は北千住、その背後には東京の大都会が控えている。川一本隔てて、のんびりした下町の風情が残っている。
土手のすぐ下に「東京拘置所」がある。このあたりは、江戸時代の鷹(たか)狩りの休み場所で、拘置所の門の横には小菅御殿跡の古い石灯籠(とうろう)がひっそりとたたずんでいる。
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高い塀に沿って歩くと、カン、カンと金属を打つ音がもれてくる。リズミカルで、硬さの中にくぐもったような柔らかさがある。銅を刻む音だ。
「江戸幸」2代目、勅使河原隆さん(62)は、道路脇の狭い作業場で仕事をしていた。この道44年の筋金入りの職人。
「おやじはごまかし仕事が大っ嫌い。職人は名前なんか残さなくたっていいんだ、いい品物(しなもん)を残せばそれでいいってぇのが口癖でね」
銅のおろし金は、肉厚で硬い銅板を羽子板型に抜き、表面に変色防止のスズを焼き付けてからタガネで歯を切っていく。歯の角度や間隔は職人の勘で、それによって切れ味に違いが出る。
歯は1段目と2段目で互い違いに切っていく。こうすると、力を入れなくても真っすぐにおろせる。安価なおろし金は、銅が軟らかくてすぐ歯が摩耗し、機械で歯がきれいに並んで切ってあるので、材料が流されてうまくおろせない。回すようにおろすのはそのためだ。
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銅のおろし金は、表は歯が粗く、鋭い。ダイコンやニンジンなどをおろすと、舌触りが滑らかで、「シャッキリしたまろやかさ」が出る。セラミックやプラスチックと違い、水っぽくならない。
裏面は歯が細かくて、ワサビやショウガ、ニンニクなどをおろすのに使う。俗に、ワサビにはサメ皮のおろし金がいいといわれる。好みもあるが、目が細かすぎてトロトロになり、刺し身には向かない。おろし金を使うと、スカッとした辛さが素材の味を引き立てる。
勅使河原さんのところには、年代物のおろし金が修理に持ち込まれる。20年前のものでも、いったんすり減った目をつぶしてスズを引き直し、新しく歯を切ってやる。いいおろし金は一生物。大事に使い込んだ道具は、人生と同じようにいい味わいがある。
 | | 小菅御殿跡の石灯籠 |
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 | | 荒川の河川敷 |
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家庭向きの「銅おろし金」5号(21×12.5センチ、5000円)を3人に(抽選)。
はがきに郵便番号、住所、氏名、年齢、職業、電話番号、「プレゼント希望」と記し、郵便番号124・0001東京都葛飾区小菅1の28の8、江戸幸(TEL・FAX03・3602・1418)。9月24日消印有効。10月初旬発送。
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