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包丁傷めない均一の硬さ   くらしの良品探訪タイトル
イラスト
【イラストより】無垢(むく)のイチョウの板をカンナで削ってまな板に仕上げる。
第10回
イチョウのまな板 イチョウのまな板
福井市


地図
 北陸屈指の景勝地、東尋坊は日本海にせり出すようにして、輝石安山岩の巨大な岩柱が約1キロにわたって続く。断崖(だんがい)絶壁に荒波が打ちつけ、のぞくと足がすくむ。すっかり気分が爽快(そうかい)になって福井市に向かう。福井には、昔から最高級品といわれるイチョウのまな板がある。

 まな板の工場は、製材されたイチョウの板が積み上げられて、すがすがしい空気が充満していた。イチョウは鼻をくっつけてもにおいはほとんどしない。だが、木が発するかすかな芳香物質が空気を清浄にしている。イチョウの葉から抽出される物質が、脳機能障害や痴呆(ちほう)症、気管支炎、ぜんそくなどに効能があることが、ドイツやフランスで臨床的に認められている。

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 イチョウは神社やお寺の境内でよく見かける木で、1億5千万年前から地球上に存在している「生きた化石」のような樹木だ。かつて原爆が投下された広島で、黒焦げになりながらも生き残り、芽を吹き出したのがイチョウだった。阪神大震災でも、防火と延焼の防止に効果を上げたことが注目を集めた。

 そのイチョウの木で作るまな板を、プロの料理人たちが絶賛する。一般に、まな板にはイチョウやヒノキ、サワラ、ホオ、シナ、キリ、カツラ、カシワなどが使われるが、やっぱりイチョウが最高だという。イチョウは、木自体に殺菌力があって衛生的な上に、油分があるので水に強く、水はけがよくにおいが残らない。また、木質が柔らかく、板にしたとき、春から夏に成長した早材と、秋から冬に育った晩材の硬さが均一なので刃当たりがよく、包丁を傷めない。

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 「昔は、イチョウのまな板といえば福井だけだった。うちではいまも、永平寺で有名な越前の山奥から切り出したイチョウの木で作っています」

 双葉商店の河端秀磯(ひでき)さんがいう。まな板は1枚1枚、手作りされる。山で切り出した原木を製材し、節などを除いて、いい部分だけをまな板の寸法に切って、カンナで仕上げる。

 仕上がったまな板は、雪国の女性の肌のように白く、しっとりしてつやがある。よく見ると、所々に小さな穴のようなものがある。聞くと傷ではなく、「ハリ」といってイチョウの木の特徴。逆に、イチョウのまな板の目印になる。

 いいまな板は一生もの。表面が減ったり、傷がついたらカンナをかけて薄くなるまで使える。まな板一つ、奮発するだけで料理の楽しさが何倍にもなる。


岩柱が連なる奇勝、東尋坊
岩柱が連なる奇勝、東尋坊=三国町

◆お取り寄せ
 縦24×横42×高さ3センチのまな板(家庭用、8000円)、21×36×3センチ(5000円)。好みのサイズの注文にも応じる。税・送料別。
 問い合わせは双葉商店(TEL0776・36・3796、FAX33・0550、http://www.jeims.co.jp/futaba/)。10月27日(月)まで、新宿・高島屋の「日本の伝統展」に出展中。

プレゼント
 19×38×2.5センチのまな板(4000円相当)を10人に。
 はがきに郵便番号、住所、氏名、年齢、職業、電話番号、「プレゼント希望」と記し、郵便番号918・8007福井市足羽1の26の8、双葉商店。11月5日必着。11月中旬発送。


(2003年10月22日朝日新聞東京本社夕刊のマリオン紙面から)

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