asahi-mullion.comのロゴ
■トップページ ■サイトマップ ■検索ページ ■くらしの良品探訪・バックナンバー
染みて長持ち天然エキス   くらしの良品探訪タイトル
イラスト
【イラストより】柿渋は、タンニンが強い渋柿を潰して搾り、数年熟成させて作る。いろんな用途がある。
第15回
柿渋
柿渋
岐阜県池田町


地図
 岐阜と滋賀が県境を接する「揖斐関ケ原養老国定公園」。その県境をはさんで伊吹山(1377メートル)と肩を並べる池田山(924メートル)の北山麓(さんろく)に池田町がある。

 旧家の広い庭の一画に、青々とした柿の実が山のように積み上げられている。この地方で「田村」「アットリ柿」と呼ばれる小粒の渋柿で、渋が強い。昔から、近在の農家は柿渋用の木を植え、収穫してきた。この時期、もいだばかりの柿が続々と「渋屋さん」に集まってくる。

 「とくに見て感心するようなことはありませんがな。十年一日のごとく、毎年同じことをやっているだけ」

 野原由也さん(70)が笑う。首に手ぬぐい、白い長袖シャツに地下足袋姿。シャツは柿の渋で黒いシミが染まっている。「渋屋」3代目。いまは息子の森夫さん(35)が跡を継いでいる。

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 柿は生き物。時間がたつと鮮度が落ちて、いい柿渋ができない。入荷したその日のうちに仕込みを終わらせてしまわなければならない。柿はベルトコンベヤーで小屋に運ばれ、粉砕機で渋を搾る。以前は、足踏み式の唐臼(からうす)で柿を潰(つぶ)し、万力で搾っていた。

 粉砕した柿はジャッキの圧力で果汁を搾り、ステンレスやホーローの容器に貯蔵する。ほかの容器だと柿渋が腐ってしまう。一貫目(3・75キロ)の柿から約1升(1・8リットル)の渋が採れる。

 果汁は約1カ月でほぼ発酵が終わるが、さらに甕の中で生き続け、熟成していく。表面に薄い膜が張り、分量が6割ほどに減る。熟成するにつれて渋タンニンが強くなる。3年から5年ものの柿渋は「玉渋」と呼ばれる最高級品になる。

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 柿渋は、強い防腐、防虫、防水効果があり、接着力に優れている。和傘や渋うちわ、雨がっぱ、敷物、行李(こうり)、木の塀や外壁の塗料など、様々な使い方をされてきた。漁網や釣り糸も染めた。水切れがよくて腐らない。

 型染めに使う染型紙は和紙を3枚、柿渋で張り合わせてある。接着効果と同時に紙の繊維を強くする。防虫、防腐の役も果たし、江戸時代の染型紙を現在でも使うことができる。酒やミリン作りにも、澱(おり)を下げる清澄剤に柿渋が使われてきた。

 柿渋を薄めて布やシャツを染めると、いい風合いになる。家の内壁などに和紙を張って柿渋を塗ってもいい。木に塗ると、時間がたつにつれて赤みのある、いい色合いになってくる。自分で作る暮らしは楽しい。


紅葉と桜の名所、霞間ケ渓
紅葉と桜の名所、霞間ケ渓

◆お取り寄せ
 柿渋2リットル1600円、20リットル1万3000円。税・送料別。注文は郵送かファクスで。問い合わせは野原さん(TEL0585・45・3173、FAX45・9376)。

プレゼント
 柿渋500ミリリットルを5人に。
 はがきに郵便番号、住所、氏名、年齢、職業、電話番号、「プレゼント希望」と記し、郵便番号503・2409岐阜県池田町舟子266、野原森夫方・良品探訪プレゼント係。12月10日必着。12月中旬発送。


(2003年11月26日朝日新聞東京本社夕刊のマリオン紙面から)

《バックナンバー》

asahi-mullion.comのトップページへ
asahi-mullion.comトップページへ
 
 このホームページ(asahi-mullion.com)についてのご意見や情報提供は
mullion-hp@asahi.com

 朝日新聞のマリオン紙面への掲載や問い合わせなどは
 〒104-8011 朝日マリオン21・マリオン編集部
(TEL03-5540-7411 FAX03-3545-0525)
 Eメールは mullion-ppr@asahi.com

 asahi-mullion.comに掲載の記事や情報、写真の無断転載を禁じます。
すべての内容は日本の著作権法並びに国際条約により保護されています。
 Copyright 2004 Asahi Mullion 21. All rights reserved.
No reproduction or republication without written permission.