
【イラストより】風呂敷は、ものを包んだり、運んだり、日除けや防寒など、利用法は無限にある。
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第16回 風呂敷
 京都市中京区 |
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烏丸通りから1本路地を入った室町通りの老舗(しにせ)の帯屋さんをのぞくと、和服の女性客があつらえたらしい帯を自前の風呂敷に包んで店を出て行く。風呂敷包みを腕に抱える所作が手なれている。しなやかな色香と、情緒がある。
風呂敷は、魔法の布である。1枚の、何の変哲もない四角い布切れが、布団やつづらといったかさばる物から、衣装や箱物、本、一升瓶、掛け軸や筒物、スイカなどの球形のものまで、そっくり包み込んでしまう。持ちづらいものでも、風呂敷に包んでしまえば、背負ったり、手に提げたりして楽に持ち運びができる。かつては、一般家庭はもちろん、商家や行商人に欠かせない道具だった。
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「風呂敷は、どこの家でも必ず何枚かあるはずやけど、あまり使われていない。ちょっとさみしいですね」
京都の老舗「宮井」の坂本茂さんがいう。宮井では、いまも京友禅の絹や綿の風呂敷などを数多く作り続けている。
ものを包むだけでなく、東北地方の女たちはこの布を雪除(ゆきよ)けや防寒、日除けのずきんにした。子供たちは鞍馬天狗のずきんや、月光仮面やスーパーマンのマントにして遊んだ。
布でものを包む習慣は古くからあった。平安時代、衣類を包む布を「古路毛都都美(ころもつつみ・衣包)」、または「平包」と呼んだ。「包み」は「つつましさ」に通じる。また、包むことによって、ものを聖なるものに浄化させる。「包」という漢字は、胎児を抱く母体を表し、生まれ出て「己」になる。包むという行為には、ものを大切に、慈しむといった深い心が投影されている。
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風呂敷の名の起こりは、文字通り風呂。室町時代に寺院の施浴が盛んになり、脱いだ衣服を間違えないように家紋が入った布で包み、湯上がりはこの布の上で身づくろいをした。当時の風呂は蒸気風呂で、床に布を敷いて入り、上がるときに足をふいたとされる。江戸時代になると銭湯が発達、風呂敷が庶民の間に定着した。
素材は絹、綿、化学繊維。サイズも様々で用途によって使い分ける。ものに合った大きさがあり、合っていないとやぼになる。小さな話を誇張すると「大風呂敷を広げる」と揶揄(やゆ)される。
包み方は無限。その上、小さく折りたためば軽くて邪魔にならない。使い捨てのポリ袋と違い、風呂敷は何度も繰り返し使える。「マイ風呂敷」の習慣を、もう一度復活させたい。
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| 風情ある祇園の路地 |
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