
【イラストより】鉄板を打ち出し機で鍋の形に打ち出していく。5000回以上打つ。
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第23回 中華鍋
 横浜市金沢区 |
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東京湾岸は強い季節風が吹き荒れていた。海に突き出した人工の島、横浜・八景島シーパラダイスは、強風にさらされて人影もまばらだった。平気なのは風の子の子供と、熱に浮かされた若いカップルだけだ。大人は建物の陰で、駆け回る子供を見守っている。
その海の遊園地の近くにあるのが、工場が立ち並ぶ金沢区工業団地。日本でただ1社、打ち出しの中華鍋を作る「山田工業所」はこの一画にある。
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工場の扉を開けると、激しい騒音が体当たりしてくる。薄暗くて広い工場の中は、油にまみれた大きな機械が林立していて、そこに溶け込むように職人たちが仕事をしている。
鉄を型抜きする音、たたく音、穴を抜く音などが共鳴して、雷鳴とどろく嵐の中に放り込まれたようだ。けたたましい騒音の中で、社長の山田豊明さん(57)がニコニコ笑っている。山田さんは2代目。父親の代から一貫して打ち出しの中華鍋を作り続けている。
「おやじが始めたのは戦後の鉄がない時代で、ドラム缶の底を大ハンマーでたたいて作っていた。1日に三、四個しか作れなかった」
材料のない時代は、物の有り難さが分かる。廃材の鉄を「いじめていじめて強くしてやって、人に役立つものを作る」というのが、父親の口癖だった。その職人気質が息子に受け継がれている。
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一般に、中華鍋は「へらしぼり型」と「金型プレス」で作られている。山田さんの中華鍋は、1・2ミリの鉄板を取っ手までの一体型で打ち抜いてから、最後まで打ち出しで仕上げる。
打ち出しの機械は独自に改良を重ねた。底の丸い鎚(つち)が、ゆっくり回る鉄板を、たたくというより、強い力でもむようにして打ち出していく。鎚跡の山の部分をつぶすようにたたいていくと、表面が滑らかになる。1個仕上げるのに5千回以上たたく。鉄はたたくことで分子が密になって丈夫になる。
打ち出しの中華鍋は底の中心が1ミリ厚で、火が直接当たる底のまわりを0・5ミリに仕上げてある。熱伝導がよく、強い火力で調理ができる。油がなじみ表面に広がる。火が通りやすくて焦げつきにくい。
中華鍋は万能の調理道具。いためる、蒸す、揚げるという調理を1台でこなす。鉄のオタマを使うと、0・3ミリの鉄分を摂取することができる。探し求めていた本物の中華鍋がやっと見つかった。
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海のレジャー施設、 八景島シーパラダイス |
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◆お取り寄せ
直径30センチの中華鍋(丸底あおり片手型)は5300円、33センチは5600円。税・送料込み。注文はファクスで。
FAX=チタニア・ファクトリー(045・785・0200)。

直径30センチの中華鍋を10人に。
はがきに郵便番号、住所、氏名、年齢、職業、電話番号を記し、郵便番号236・0004横浜市金沢区福浦1の3の29、山田工業所「良品探訪プレゼント」係。2月6日必着。2月中旬発送。
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