
【イラストより】薄く削った柾目のヒノキ板を熱湯で煮てから、「ほた」という型で曲げていく。曲線が美しい。
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第25回 メンパ
 長野県楢川村 |
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ぐっと冷え込んだ冬の朝、奈良井宿は山の陰に沈んでいた。道は凍りついてツルツル滑る。旅籠(はたご)や土産物店、食堂、酒蔵などが軒を連ねる古い町並みは、江戸時代に「奈良井千軒」といわれて栄えた宿場町の風情を残して、妻籠宿などとともに国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されている。
「えらい早いだね。まだどこも店閉めてるだに……」
共同水場で水をくんでいたおばさんが、腰をのばして気さくに声をかけてくる。十数年ぶりに訪れた奈良井宿。素朴な人情は変わっていない。めざす「花野屋」さんも、昔のまま通りの中ほどにあった。前回、作業場に上がり込んで、土川昇一さん(当時81)のメンパ作りの優れた技を見せてもらった。そのとき買ったメンパを今も大事に愛用している。
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メンパというのは、ヒノキやスギの薄板を楕円(だえん)形に曲げた、いわゆる曲げ物。奈良井では古くから、木曽御料林のヒノキを使ってメンパ作りが盛んだった。昔は杣(そま)や木挽(こび)きなど、山仕事に従事する男たちが弁当箱に使った。メンパの容器と蓋(ふた)の両方にご飯をギュウギュウ詰めにすると1升キッチリ入ることから1升メンパともいった。
メンパは、山の暮らしに欠かせない生活道具だった。目がつんだヒノキの柾目(まさめ)板を極限まで湾曲させた張りの緊張感と、柔らかい曲線が作り出す美しさは、まさに機能美の極致だ。
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「随分たつけど、よく覚えていますよ」と言われて、気持ちがいっぺんに和んだ。残念ながら昇一さんはすでに亡くなっていたが、息子の正美さんの家族が跡を継いでいた。
素材に使われるのは御岳山麓(さんろく)で育った良質のヒノキ。それをへぎ包丁で柾目の板にそぎ、銑(せん)で薄く削った後、さらにカンナをかけて仕上げる。その柾目の薄板を80度くらいの湯で煮て柔らかくしてから、ホタと呼ばれる堅い丸太に巻きつけるようにして曲げる。
それを小判型の型に巻き、木製のハサミでおさえて数日乾燥させる。型からはずしたら、押しのり(ご飯粒をつぶしたのり)で接着し、継ぎ目を山桜の皮で縫い、底を入れる。
ヒノキのメンパは、丈夫な上に軽くて通気性がよく、容器が汗をかいてご飯がベチャベチャにならず、傷みにくい。におい移りもしない。こんな器を使ったら弁当が楽しくなる。ちょっとしたお重の代わりや、料理の器にも使える。
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| 旧中山道ノ面影を残す奈良井宿 |
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◆お取り寄せ
漆塗りの合わせメンパ(205×100×90ミリ、おかず入れ付き)は7500円、合わせ小判弁当箱・中4500円。税・送料別。注文はホームページかファクスで。
問い合わせは花野屋(TEL0264・34・3708、FAX34・3709、http://www.hananoya-syouten.com/)。

合わせ小判弁当箱・小(4000相当)を5人に。
はがきに郵便番号、住所、氏名、年齢、職業、電話番号を記し、郵便番号399・6303長野県楢川村奈良井837の80の5、花野屋「良品探訪プレゼント」係。2月28日必着。3月上旬発送。
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