
【イラストより】伊賀焼の土は、粗く、多孔質で火に強く、蓄熱作用に優れている。
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第27回 土鍋
 三重県阿山町 |
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松尾芭蕉の生誕地、伊賀上野から、滋賀県の信楽に向かう県境近くに丸柱という小さな村落がある。この地から奈良東大寺の柱を切り出したいわれによる地名だという。そこが「伊賀焼の郷(さと)」だった。
「大昔、このあたりは琵琶湖の湖底だったといわれていて、そこに堆積(たいせき)した粘土で焼き物を作っているんです」
伊賀焼の窯元、長谷(ながたに)製陶の長谷康弘さん(34)にいわれてまた驚いた。太古の琵琶湖の大きさを想像すると、壮大なロマンを喚起する。そして、その躍動する大地のエネルギーが凝縮した土を、掌(たなごころ)で慈しむように練り、原始の火で焼き締めた陶器に、郷愁にも似た愛着を感じる。
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産出する土は「木節(きぶし)粘土」「蛙目(がいろめ)粘土」と呼ばれる。炭化した植物や微生物が多く含まれていて粗い。火で焼くと不純物が燃えつきて細かい気泡のような孔(あな)ができる。多孔質で、強い窯の火で焼き締められた陶器は、食材にじんわりと熱を伝える。熱が通ると強い保温力があって余熱で調理できる。「調理には伊賀焼」と、プロの料理人に好まれてきた。
長谷製陶は、1832(天保3)年創業の窯元で、現当主は7代目。裏手の山の斜面にある16連房の登り窯は、これだけの規模で現存しているのはここだけだといわれる。別棟の薄暗い作業場をのぞくと、名工の藤生勘一さん(75)が、土との戯れを楽しむように作業をしていた。手元から削られた土がくねるように宙に躍っている。
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伊賀焼の技を生かして新しい調理道具や器も作っている。土鍋の「ふっくらさん」は浅い陶板の鍋に、ドーム形の素焼きの蓋(ふた)がついている。この個性的な土鍋には多彩な機能が隠されている。
ドーム形の蓋は蒸し焼き料理に威力を発揮する。素材の風味、滋養を封じ込め、しかも陶板から出る遠赤外線によって芯まで熱が通り、ふっくら、パリッと焼ける。野菜や魚介類の蒸し焼き、焼き芋、すきやきやステーキ、いため物、さらに石窯風のピザまで見事に焼ける。耐火性が高いので、空だきしてもヒビが入らない。まさに万能の調理道具だ。
もう一つのお勧めは炊飯用の「かまどさん」。肉厚の土鍋で蓄熱効果が高く、保温性に優れている。火加減を微調整しなくていいのがうれしい。遠赤外線効果の高いうわぐすりを使っているので、米の芯まで熱が通り、ふっくら炊ける。中蓋付きの二重構造で圧力釜の機能も果たし、ふきこぼれない。こんな調理道具、いままでなかった。
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| 山の斜面に連なる登り窯 |
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◆お取り寄せ
「ふっくらさん」の大は7000円、小3500円、「かまどさん」の1合炊き6000円、3合1万円、5合1万8000円。税・送料別。
問い合わせは長谷製陶(TEL0595・44・1511、FAX44・1001、http://www.igamono.co.jp)。

「かまどさん」の3合炊きを5人に。
はがきに郵便番号、住所、氏名、年齢、職業、電話番号を記し、郵便番号518・1325三重県阿山町丸柱569、長谷製陶「良品探訪プレゼント」係。3月12日必着。下旬発送。
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