
【イラストより】「草木染」漢方薬のにおいが充満している。
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第29回 草木染
 千葉県鴨川市 |
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南房総は春うらら。ひっそりと山間に抱かれた「大山千枚田」は、所々黄色の菜の花に彩られている。風はまだ冷たいが、春の光と色に満ちている。
千枚田から近い、草木染の工房にも色があふれていた。花の黄、赤、橙(だいだい)、草の緑、空と海の青、大地の茶。それらが重なり合ってまた新しい、繊細な色を生み出す。
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大鍋が沸騰している。その、漢方薬のようなにおいがする湯気の中に、上野紀代さん(61)のにこやかな顔があった。
「そう、草木染というのは、まさに着る漢方薬なんです」
横で夫の治範さん(61)が身を乗り出す。中国の古い医学書には、「草根木皮は小薬なり、鍼灸(しんきゅう)は中薬なり。飲食、衣服は大薬なり」と書かれている。薬は口から飲む(内服)だけでなく、薬用植物を身につけること(外服)が本来の「服用」だった。草木で染めた天然素材の布を着用することによって、自然治癒力を高めてくれる。
「花や葉1枚、体につけているだけでも、自然の植物同士が感応し合う。その気を人間も受けている」という。
工房に充満する湯気は、まさに薬用植物のエッセンスなのだ。そのせいか、紀代さんの肌がつややかに紅潮している。植物との会話を楽しむように穏やかな笑顔で布を染めている。
独特の抽出装置で草木から染料を抽出し、ミョウバンや木酢酸鉄などを使った媒染で染めている。色の定着がよく、ムラにならない。ベニバナの染料で煮出す。淡い黄色に染まる。「きれいな色!」と褒める。それをハイビスカスの鍋に入れる。うっすら赤いカンゾウ色に染まる。「これもきれい!」と励ます。
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上野さんは、草木染の薬効をいかして、暮らしに役立つものを染めたいと思っている。好評なのが5本指ソックスと、インド綿のリンクル・ストールだ。
草木染の5本指ソックスは、抗菌、保温効果があり、指の間の汗を吸収すると同時に、指のマッサージにもなる。ウコン染めは殺菌、むくみに、ベニバナは抗菌、冷え性に、藍(あい)は保温効果があって、水虫にいいといわれている。
リンクル・ストールは首に巻くと冷えず、抗菌作用があって風邪をひきにくいとされる。体の悪いところに巻くと痛みが和らぐという愛好者も多い。希望や症状によって染料を選んで染めてくれる。
草木の命を着る。人間は自然の恩恵なしでは生きられない。
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| 早春の大山千枚田 |
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◆お取り寄せ
5本指ソックスの3足セット(綿100%、青・黄・ピンク)は1740円、リンクル・ストール(青・緑・オレンジ・黄色)2300円。多色染めのため微妙な色合いはおまかせ。送料・代引き手数料別。TEL・FAX農人舎(0470・97・0926、nojinsha@cameo.plala.or.jp)。

5本指ソックスの3足セットを20人に。
はがきに郵便番号、住所、氏名、年齢、職業、電話番号を記し、郵便番号296・0123千葉県鴨川市北風原88、農人舎「良品探訪プレゼント」係。3月26日必着。4月上旬発送。
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