
【イラストより】コウゾの繊維がからまるように流し漉きする。微妙な手加減で紙の質が変わる。
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第36回 手漉き和紙
 埼玉県小川町 |
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仙元山の展望台から見下ろす小川盆地は、緑濃い盆の底を流れる槻(つき)川と兜(かぶと)川の清流を囲むようにいらかの波が揺れて、日本の原風景のジオラマのようだ。家並みを縫う街道沿いには、手漉(す)き和紙の看板やノボリが連なっている。
「いやだ、いやだよ、紙漉きはいやだ。夜づめ早起き水仕事(略)月は傾く、夜はしんしんと、ふけてまだ打つ紙キヌタ……」
つらい労働をうたった紙漉き唄(うた)が聞こえてきそうだ。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
すり鉢の底のような盆地は、夏は蒸し暑く、冬は底冷えする。寒さが厳しく、水が冷たいほどいい和紙ができる。小川町は、およそ1300年前から和紙作りが行われていたといわれる。江戸時代には700戸の漉家があり、「細川和紙」の名は全国に知られた。自然は、常に試練と限りない恩恵を与える。
荒れ寺の庭先で大釜が煮立っている。コウゾを煮る湯気の中にリチャード・フレイビンさん(60)の顔がある。生まれは米国のボストン。1972年に東京芸大に留学して版画を学んだ。和紙に興味がわいて、小川町に通いつめるようになった。明治以来住職がいないという禅寺を住まいと工房にして27年になる。
「日本には、昔から土地土地の紙があった。そこの土地で栽培した地コウゾ、プラス伝統の技術がある」という。
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リチャードさんは、地コウゾにこだわる。10年前からコウゾを植え始めた。1月、2月の極寒の時期に刈り取り、蒸して皮をはぐ。大釜にソーダ灰を入れて強火で1時間半ほど煮てから、凍えるように冷たい川の水で洗って、黒い皮を取り除く。丹念にチリトリすると真っ白な紙ができる。
それを台の上でよくたたくと繊維がバラバラになる。繊維が長いと、腰が強い紙になる。フネ(水槽)にコウゾの繊維と水、トロロアオイの汁を入れて混ぜ、簾(すだれ)ですくう。繊維がからまるように流し漉きすると丈夫な紙になる。バナナやパイナップルの繊維で漉いたりもする。
リチャードさんは、漉いた紙を絞り染めや、柿渋を塗ってもみ紙にしたり、びょうぶやあんどん、はがき、装丁、和綴(と)じの造本を手がけたりしている。スケッチブックやメモ帳、アドレス帳にもなる。
大きな和紙を、壁やふすま、テーブルや古い家具などに張って柿渋を塗ると味わいのあるものになる。手漉き和紙の可能性は無限に広がっていく。
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| 仙元山展望台から見た小川町 |
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◆お取り寄せ
アドレス帳、メモ帳、スケッチブックにもなる「和とじノート」は大4000円、中3500円、小3000円。「柿渋の揉み紙」「絞り染め和紙」(87×57センチ)各3000円。はがき(10枚セット)1000円。送料込み。はがきで注文。

はがきのセットを10人に。はがきに郵便番号、住所、氏名、年齢、職業、電話番号を記し、郵便番号355・0335埼玉県小川町木部218、リチャード・フレイビン方「良品探訪プレゼント」係。5月31日必着。6月中旬発送。
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