
【イラストより】簾戸は建具の技術を生かして一枚一枚手作りされる。夏は涼やかな風が通り、外から見えにくい。
|
第39回 簾戸
 新潟県新発田市 |
|
新発田(しばた)城は、堀に葉桜の濃い緑を映していた。石垣の緩やかな曲線に続く、表門と隅櫓(やぐら)の白壁が美しい。
かつて10万石の城下町だった新発田は、阿賀地方の中心都市だった。城下町独特の狭く曲がりくねった道を歩くと、家に財を投じる気風を見る楽しみもある。
旧家に招かれると、庭に面した座敷に簾戸(すど)がはまっている。そろそろ夏に衣替えする季節になった。
初夏を迎えると、ふすまや障子を、風通しのいい簾(すだれ)をはめこんだ建具に替える。簾戸は夏障子とも言われる。簾の材料は竹、葦(あし)、ハギなどがあり、葭戸(よしど)とも呼ばれる。夏の季語で「葭障子 細身の風の 来たりけり」(草間時彦)などがある。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
簾戸には、蒸し暑い日本の夏を快適に過ごすための知恵と同時に、日本人独特の繊細な美意識、自然と暮らしを融合させる情緒性が投影されている。
簾戸をはめると、座敷がとたんに風雅な趣に一変する。室内はほのかに暗く、簾を透かして見える外の風景が光に満ちて華やいでいる。涼やかな風を感じることができる。建具の杉や竹の香がにおい立つ。昼は外から中が見えにくい。安らぎがあって、くつろげる。
地理学者のJ・アップルトンによると、人間や動物が一番落ち着く風景は、「隠棲(いんせい)と探索」「眺望と隠れ」という両義的な自然の風景だといわれる。本能的に、外敵や雨風から身を隠し、守るシェルターとしての家と、そこから見る視界がうまく調和していると安らぎを感じる。簾戸が、まさにそうだ。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
新発田の「高橋建具製作所」は、伝統的な簾戸にこだわっている。桟は目がつんだ杉材。軽くて色がよく、香りがいい。ホゾを刻み、きっちりと組み合わせる。簾は細い竹を細かく編んで桟で挟んで張る。少し値が張るが、注文で葦やハギの簾にもできる。
簾戸に黒竹をあしらったタイプや、透かし彫りの板をはめ込んだタイプもある。また、全面を簾にすると虫が入ってこない。縁側や、洋室にも合う。
「製造直販しかしていません。お客さんの声や要望をじかに聞いて、満足してもらえるものを作りたい」
社長の高橋孝一さん(54)がいう。セミオーダーで、依頼者に寸法を測ってもらい、ぴったりはまる簾戸を作る。家の建具を一緒に作る喜びがある。価格も市価よりかなり安い。
簾戸に替えて、日本の夏の風情を楽しむのも一興だ。
 |
| 復元工事が進む新発田城 |
|
◆お取り寄せ
簾戸は1枚2万9400円から。透かし板や羽目板、格子の付いたものなどがある。注文製作にも応じる。送料別。カタログを取り寄せて注文を。

竹簾コースターを5枚セットで10人に。
はがきに郵便番号、住所、氏名、年齢、職業、電話番号を記し、郵便番号957・0007新潟県新発田市小舟町1の15の5、高橋建具製作所(TEL0254・22・6450、FAX22・7096、http://www.kimajime.co.jp)。6月11日必着。中旬発送。
|
|
|