
【イラストより】100年生きた木を100年使い込む。職人の気骨が家具に打ち込まれる。
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第43回 神戸洋家具
 神戸市中央区 |
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メリケンパークに立って、港を行き交う船を眺めながら街に目を移すと、あのとき、無残に崩壊した高架道路が、躍動する大動脈として見事によみがえっている。新しいビルが林立し、その背後に緑濃い六甲山の山並みが、どっしり腰を据えている。自然と、そこに暮らす人々の活力が満ちあふれている。みんな、前を向いて頑張っている。それが、胸が熱くなるほどうれしかった。
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神戸開港以来の伝統を持つ、洋家具店の若い後継者たちも頑張っていた。
「神戸は日本の洋家具発祥の地。その伝統と技術に誇りを持っています。その自信が家具だけでなく、神戸をもう一度復興させる力になると思っています」
「神戸市家具青年部会」の河合慎治会長(44)が静かな口調で語る。
神戸の洋家具の歴史は、外国人居留地に欧米の家具が持ち込まれ、地元の船大工が修理したことが始まり。現在、小さな家具店が独自のデザインを持ち、大きなモデルチェンジをせず、長く安心して使える家具を作り続けている。
ここの洋家具は、いまも一つ一つ手作り。しかも、職人がタンスやイスなどの専門職になっている。職人の元には、店から10分の1の図面が上がってくる。ベーシックデザインに、客の要望や収納場所に合わせて手が加えられていて、一つとして同じものがない。職人の仕事は、その原寸図起こしから始まる。
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「食堂のイスやったら背もたれを少し立てようとか、居間でくつろぐイスやったら少し寝かせようとか。ほんまに微妙なもんです」
イス職人の高橋勝實さん(60)がいう。高橋さんはいま、ナラ材のアームチェアと板イスの製作に追われている。100年生きた樹木を100年使い続けられるイス作りがポリシー。
原寸図を基に、パーツごとに型紙を取り、木を裁断していく。イスには直線がほとんどない。微妙な曲線をたくみに組み合わせて、強度と美しさ、座り心地のいいイスを仕上げる。組み立ては、ホゾにニカワをつけてたたき込む。組み上がるともうビクともしない。座ってみると、スッと体になじむ。
「イスの強度を決めるのは、背もたれと台輪、後ろ脚の3点を留める部分。ここに微妙な角度で三方から力を集めて、抜けやグラツキを吸収するんです」
人も街も、このイスのように支え合っていけたらいい。いいイスは気持ちまで安らかにする。
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| 異人館街の「風見鶏の館」 |
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