
【イラストより】鋳造は鋳型作りから始まる。
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第49回 ティケトル
 山形市銅町 |
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みちのく山形は夏まっ盛り。紺碧(こんぺき)の空の下、ジリジリと炙(あぶ)るような強い日差しが照りつけている。車窓から望む蔵王山麓(さんろく)も厳しい冬に備えて、体温を蓄えるように甲羅干しをしていた。暑さを逃れて「文翔館」前の噴水に駆け込む。霧雨のような水のしぶきと、冷たい風にひと息をつく。
中心街を離れて銅町へ。密集した家並みの中にカーンカーンと鎚(つち)を打つ音やガタンガタンという機械の音がもれてくる。慶長年間に、山形藩57万石の藩主最上義光が、ここに鋳物師17人を集めて町づくりをした。山形鋳物の歴史はさらに古く、平安時代までさかのぼる。この地に産する川砂と、土が鋳物に適していた。
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増田尚紀さん(55)の「鋳心ノ工房」も、銅町の一画にあった。増田さんは、静岡県浜松市生まれ。武蔵野美術大学卒業後、77年に山形に移り住み、伝統産業に新しい風を吹き込むことに情熱を注いでいる。作品は数々の賞に輝き、外国の美術館にも所蔵されている。
「日本に伝わる鋳物の伝統美を、現代のライフスタイルに提案していきたい」
優れた伝統技術も、時代に合わなければ消えていく。本当は、昔の職人だって時代を先取りしたもの作りをしていた。
急な階段を上った2階に工房がある。壁から床に、鋳型や半製品、砂場、炉、ガス台などが所狭しと並んでいる。
鋳物の基本は、生型鋳造。デザインを起こしたら石膏(せっこう)で型を彫り、それをもとに砂型を作る。砂型は、石膏型を入れた枠に山砂を詰めて上型と下型を作り、そのすき間に、1600度に溶解した銑鉄を、湯口から流し込む。冷えたら砂型は壊す。アルミの鋳型は、何度も使える。普段使いの器として、コストをおさえてある程度の量産ができる。
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心ひかれる鉄びんがあった。現代の暮らしにあった鉄びんとして、あえてティケトルという。仕上げに内側に漆を塗り、表面も火で焼きながら漆を稲穂のハケで塗って焼き締めてある。艶(つや)消しの漆と銀色のステンレスの取っ手が渋い風合いを漂わせる。金色の真鍮(しんちゅう)の取っ手と2種類ある。さらに、電磁調理器でも使えるように底をフラットにして、熱効率がいいように溝が彫ってある。ロウソクの火で保温するウオーマーもある。
鉄びんで沸かしたお湯はまろやかで鉄分の補給にもなる。お茶を入れると、鉄分とタンニンが合わさって、おいしい。暮らしの贅(ぜい)というより、日々の暮らしをしみじみ味わい楽しむ必需品だ。
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| 大正期に建てられた文翔館 |
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◆お取り寄せ
ティケトルの1リットルは1万2600円、1.8リットルは1万8900円。ウオーマーSサイズ2415円、L2940円。送料別。問い合わせは鋳心ノ工房(TEL023・625・4485、FAX642・4101、http://www.mountain-j.com/chushin/)。

鉄製の鍋敷きを5人に。はがきに郵便番号、住所、氏名、年齢、職業、電話番号を記し、郵便番号990・0051山形市銅町2の1の12、鋳心ノ工房「良品探訪プレゼント」係。8月27日必着。9月上旬発送。
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