
【イラストより】微妙な手加減で打って形を仕上げる。一分のゆがみも許さない。
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第53回 茶筒
 京都市下京区 |
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交通量の激しい河原町通を六条あたりから東に入ルと、高瀬川の疎水に沿って閑静な町家が軒を連ねている。高瀬川はかつて、伏見から京に米や炭などを運ぶ舟が行き来してにぎわった。
ここらあたりかな、と旧六条通をのぞくと、茶筒の「開化堂」があった。1875(明治8)年の創業以来、一貫した手作りで茶筒を作り続けている。
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数年前に知人からいただいてから、ここの茶筒をずっと愛用している。茶筒の蓋(ふた)を抜くとき、中が真空状態に近いほど密封されているので、かすかな抵抗感があって、ポンッという軽やかな音がする。茶箕(ちゃみ)でお茶の葉をすくうとき、サラサラという乾いた音に耳を傾ける。
そしてなによりも楽しみなのが、蓋を茶筒の口に合わせるとき。わずかなすき間から中の空気を押し出しながら、蓋がスーッと下がってピタリと密閉する。その、一分のゆがみもない完成度と、職人の技にフッと心が和む。
そのあと、ふくよかなお茶をいただきながら、手のひらで茶筒をなでさする。朝の、そのささやかな儀式が1日の潤いになっている。毎日、手でなでると茶筒の色つやが変わっていくというが、一向に変化の兆しがない。どうしたことか。
「それは、ブリキの茶筒とちがいますか。それやと、20年はかかりますわ。銅やとひと月くらいで色が変わってきます」
ご主人の八木聖二さん(57)に笑われた。寿命と追いかけっこになりそうだ。
開化堂の茶筒は、年季の入った職人の手作り。金属板の裁断から、蓋と容器の合わせを調整する仕上げまで、工程は130余に及ぶ。目と、手先の微妙な感覚が頼りの細かい作業は、どんな精巧な機械も追いつけない。
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茶筒は、胴(容器)とキ(内側の筒)を合わせた二重構造に作られている。外側はブリキ、銅、真鍮(しんちゅう)が使われるが、キはブリキ製で、口の外側をわずかに膨らませる加減で、接着したようにぴっちりと合わさる。
この二重構造によって外気を遮断し、気密性が保たれる。茶葉がしけず、酸化するのも防ぐので、香りも逃げず、長くおいしいお茶がいただける。緑茶、紅茶、コーヒーの保存にも使える。
朝夕、しみじみとお茶を味わう至福。茶筒をいとおしむように、たなごころでなでながら使い込むうちに、まろやかな色と光沢が出て、味わい深くなる。茶筒は、時間をかけて育てるものだということを、あらためて教えられた。
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| 京情緒ただよう高瀬川 |
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◆お取り寄せ
銅の茶筒・平型200グラム(直径9.2センチ×高さ11センチ)、長型200グラム(同7.8×13.6センチ)、携帯用30グラム(同8センチ×3.3センチ)はいずれも8400円。送料別。問い合わせは開化堂(TEL075・351・5788、FAX351・5801、http://www.kaikado.jp/)。

銅の茶筒・平型を3人に。はがきに郵便番号、住所、氏名、年齢、職業、電話番号を記し、郵便番号600・8127京都市下京区河原町六条東入ル、開化堂「良品探訪プレゼント」係。9月24日必着。10月初旬発送。
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