
【イラストより】ていねいに研ぎ上げたカンナの刃を台にすげる。台の面は平らに、刃の先の面ははがき1枚分低くする。
|
第55回 カツオ節削り器
 東京都中央区 |
|
「お江戸日本橋七つ立ち」とうたわれた日本橋はいま、そのまた上に高速道路が走って息苦しそうにしている。本来、日本橋は、江戸城外堀から隅田川に流れる日本橋川にかかる橋で、1604(慶長9)年に国内里程の原点に定められた。
橋の真ん中から、歩を数えるようにして歩き出すとすぐに刃物の「木屋」がある。1792(寛政4)年の創業で、刃物といえば木屋といわれる老舗(しにせ)中の老舗。ここに、カツオ節削り器を探しにきた。木屋で扱っているものなら、まず間違いはない。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
あった。あの懐かしいカツオ節削り器が、店の奥の棚にデンと控えていた。 「昔はどこの家でも必ずカツブシを削って料理のダシをとったり、おかかにしたりして食べました」
木屋の石田克由さん(59)がいう。「カツブシ」「おかか」は江戸なまり。上方では「節」「削り節」といった。ダシをとるほか、温かいご飯にのせて食べる「おかかご飯」は、なかなかのごちそうだった。
カンナ式のカツオ節削りがいつから登場したのか、はっきり分からない。江戸、明治中期ごろまでは包丁で削っていたようだ。これだと薄く削るのが難しく、誰かが大工道具のカンナを使うことを思いついたのが広まったのだろう。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
木屋いち押しのカツオ節削り器は、見るからに気品と風格があった。銘は「團十郎」。明治から、歌舞伎役者の市川團十郎にちなんで名付けられている。
引き出し付きの外箱は桐(きり)製。カツオ節はしけると風味が損なわれる。桐は湿気や温度の変化を受けにくく、引き出しがピッタリ閉まる。
刃は高級刃物に使われる青紙2号の鋼を使用。よく切れる刃で削ったカツオ節は肌につやがあり、風味が引き立つ。
「何といっても、刃の研ぎ合わせと、台の調整に神経を使います」
仕事を任せられている中山英俊さん(33)がいう。刃は少し立て気味に研ぎ上げ、台は刃より下の面は平らに、上の面ははがき1枚分、低くしてある。刃の出しは髪の毛1本分。抵抗感がなく、シュッ、シュッと気持ちのいい音をさせながら、裏が透けて見えるほど薄く削れる。ダシ用には、少し刃を出して削る。
削りたてのカツオ節はおいしい。世界に比類なき日本人の繊細な舌を育てたといってもいい。そう思うと、この箱が、宝物のように見えてくる。=おわり
 |
| 1911(明治44)年築の日本橋 |
|
◆お取り寄せ
カツオ節削り器・團十郎(315×135×165ミリ)は2万2050円、木屋桐箱カツオ節削り器(265×110×135ミリ)は1万4700円。送料別。問い合わせは木屋(TEL03・3241・0110、FAX3241・0117、http://www.kiya-hamono.co.jp/)。

カツオ節削り器・團十郎を1人に。はがきに郵便番号、住所、氏名、年齢、職業、電話番号を記し、郵便番号103・0022東京都中央区日本橋室町1の5の6、木屋「良品探訪プレゼント」係。10月8日必着。中旬発送。
|
|
|