何科の植物であれ、ツルさえあれば好きだ。マメ科でもウリ科でもいい。
ツルは数時間のうちにすくすく伸び、手近な物へと近づいていっては素早く巻きつく。視覚があるのではないかと疑うほどである。
また、不思議なことにやつらはえり好みをする。人間の都合でどこかに巻きつけておいても、いつの間にかほどけているのだ。気に入らないのである。
ほとんど動物の域だと思う。ツルのある植物は他の植物に比べてIQが高いというのが俺(おれ)の持論で、育てている感じからすると、もはやペットに近い。
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| 題字と季語イラスト・上田みゆき |
現在、俺のベランダではヒョウタンとゴーヤが同じプランター内で飼われている。去年も飼育に挑戦し、中途半端な結果に終わっているので、今回は念入りな世話をしているのである。
ベランダの上の方に通気孔を見つけた俺は、危険をかえりみずに椅子(いす)を運び出し、爪先立(つまさきだ)ちになって通気孔に針金を引っかけると、タコ糸を数本張った。
強風でも吹けば転落しかねない俺の果敢な行動をヒョウタンとゴーヤは高く評価し、タコ糸につかまって数日のうちにベランダの天井まで伸びた。
伸びたはいいが、そこから先がなかった。ヒョウタンどもは我も我もと枝を増やし、ベランダの天井にひたすら頭をぶつけるのだ。
出来れば階上の住人に交渉し、俺のペットのために上からタコ糸を垂らしてもらいたいところなのだが、もしそんなことをすればやはり数日のうちにヒョウタンどもはさらに上の階を目指すに違いない。
とすると、俺は最上階の住人にまで交渉をせねばならず、もし万が一皆さんのご協力を得たとしても、その時俺のヒョウタンとゴーヤはマンション全体の共有財産になってしまうのである。これでは何か趣旨が違うと言わざるを得ない。
仕方なく、俺はまたもや危険を冒し、通気孔に引っかけた針金から四方八方にタコ糸を伸ばした。なんとかツルが横に伸びたり、下降したりしないかと願ったわけである。
だが、この対策をツルは無視した。
今、俺のベランダでは行くあてのない無数のツルと、虚(むな)しいタコ糸の群れが風に揺れている。
ツル性の植物をもう少しで嫌いになりそうな俺だ。