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2004.4.23(金)更新
 

おのれ不意打ちとは、ひきょうなる魏の者ども、
この姜維が相手じゃ。サァ、どこからでも掛かって参れ

「新・三国志3 完結篇」

段治郎の謳凌(左)と右近の姜維
 段治郎の謳凌(左)と右近の姜維
 時代劇の立ち回りは、だいたいこんな調子で始まる。これは、「三国志」を彩る英雄たちも既になく、諸葛孔明の遺志を継いで蜀の将軍になった姜維(きょうい)が、魏の軍兵と戦う場面での立ち回り。スーパー歌舞伎の売り物のひとつ、本水を使ってのスペクタクルだから迫力が違う。

 舞台前面を覆っていた鏡が上がると、滝の前に右近の姜維が仁王立ちしていて、「掛かって参れ」と言い放って水の中での戦いが始まる。

 兵を踏みつけ姜維が見えを切り、剣をかざしての見えになる。その上にまさに滝のような水が降り注ぐ。

 両軍入り乱れる中、姜維に共鳴している魏の武将謳凌(おうりょう)が馬でかけつける。演じるは御大、猿之助休演で大抜擢(ばってき)の段治郎。京劇俳優の兵たちのスピード満点のアクロバチックな立ち回りが戦いの激しさを物語る。

 上手に2本の剣をかざした姜維、下手に馬上の謳凌。「身は離れるも心は一つ」「我らは共に夢に生き」「夢に果てよう」で決まる。

 テーマは「夢みる力」である。

 ただし、心に残るセリフは別。

 「世に英雄とうたわれし者の多くは、自らの夢のために戦を始めた。なれど謳凌殿1人は、夢のために命を投げ打ち、愚かなる戦を終わらせようといたしたのじゃ」 最後に謳凌を討つ魏の将軍鍾会(しょうかい)(歌六)の言葉だ。

(八月一日 教宏)

   =新橋演舞場 5月25日まで=


「新・三国志」は、中国の長編歴史小説「三国志演義」を基に横内謙介が脚本を書いたスーパー歌舞伎の7作目。劉備玄徳が女だった第1作に始まり、初の3部作になった。

=2004年4月22日朝日新聞(東京本社版)
夕刊マリオンから

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