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「助 六」
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両手にキセルを持つ
海老蔵の助六
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花川戸の助六は、江戸一番のいい男。今ならさしずめ「冬のソナタ」の“ヨン様”か。
今日も吉原仲の町へやって来るとなじみの女郎たちがいっせいにたばこに火をつけてキセルを渡す。そのキセルを両手いっぱいに持ってうそぶいてみせるのが、襲名披露2カ月目十一代目海老蔵の助六。
海老蔵の襲名披露の出し物で、助六の格好良さを見せるのが主眼でもあるこの家の芸が最もふさわしい。すきのないスタイル、けんかに強く、女にもててしかも優しい。こんないい男の役は、男ぶりのいい役者に限るからだ。
新海老蔵は、「源氏物語」の光源氏を演じて女性の間に今や伝説に近い“海老様”ブームを巻き起こした祖父似といわれるが、役者ぶりはそれ以上という古老もいる。
赤の襦袢(じゅばん)がのぞく黒羽二重の着物で背には尺八。紫の鉢巻きを結び、蛇の目傘を手に下駄(げた)を激しく鳴らして助六が登場する。花道で延々と見せる踊りともポーズともつかない“助六ショー”のあでやかなこと。
「お前の目を忍んで助六さんと会うからは、仲の町の真ん中で踏まりょうが、叩かりょうが、手にかかって殺さりょうが、それが怖うて間夫(まぶ)狂いが、なるものかいな」
全盛の花魁(おいらん)、揚巻(玉三郎)が自分にご執心の大尽、意休に言って笑うのも、もっともな男である。
(八月一日 教宏)
=歌舞伎座 6月26日まで=
◆ 助六のトレードマークが江戸紫の鉢巻。今月も仁左衛門が演じている「寺子屋」の松王丸や舞踊の「保名」などは、病い鉢巻で左結びだが、助六のは右に結ぶ風流鉢巻。
=2004年6月17日朝日新聞(東京本社版) 夕刊マリオンから
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