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「細 雪」
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雪子、鶴子、幸子、妙子(右から)
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大阪・船場で江戸時代から続く木綿問屋の老舗(しにせ)、蒔岡(まきおか)商店の、先代当主七回忌の法要の日。
娘4人がそろい、京都の花見には今年も行くのか、と聞く3女に答えて次女が言う。
しかし、四季折々を愛(め)でる優雅な暮らしも今は昔のこと。戦時色が濃くなる中、蒔岡商店は倒産、本家を守っていた長女が元の銀行員に戻った夫について東京へ行くまでの姉妹の絆(きずな)とそれぞれの姿が描かれる。
蒔岡の家柄、格式にこだわり続ける誇り高い長女鶴子(佐久間良子)、万事控えめな3女雪子(紺野美沙子)、次々に問題を起こす対照的な4女妙子(南野陽子)。芦屋に分家を構え、姉との間に立って妹たちの力になる次女幸子(山本陽子)。
4姉妹の着物姿があでやかで、船場言葉が柔らかくて美しい。
終幕。荷物を出し終えてガランとした家の庭に立つ4人に桜が散る。
「来年は誰がこの花を見るのやろ……」の幸子の言葉で、京の花見の思い出が1人ひとりによみがえる。
「(平安神宮の)門をくぐって顔をあげると……あでやかな紅枝垂(べにしだれ)の花……どんな世の中になってもあの花だけは咲き続けますのやろな」
鶴子の言葉に老舗の栄光、そこに生まれ育ったご寮人さんたちのあの日あの時が重なり、滅び行くものの美しさを見るようだ。
(八月一日 教宏)
=帝劇 6月27日まで=
◆ 谷崎潤一郎の原作を菊田一夫の脚色・演出で1966年、芸術座で初演。現在の版は堀越真潤色、水谷幹夫演出で、昨年3月、23公演目の博多座で上演千回を記録。
=2004年6月24日朝日新聞(東京本社版) 夕刊マリオンから
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