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「ミス・サイゴン」
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キムを演じる松たか子
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ベトナム戦争。陥落直前のサイゴンで出会ったベトナム人少女キムと米兵クリスの激しく悲しい恋と、その後のキムの究極の母性愛を描く。
売春婦とGIとして出会い、わずかな期間一緒に過ごしただけで、鉄条網とヘリコプターで引き裂かれてしまった2人。忘れ形見の息子タムを抱いて、力強くキムは歌う。その姿は、運命の恋人と出会って幸せだった娘時代の彼女とは、表情も声も違っている。米兵の子供を産んだことで国を汚したとかつての婚約者に責められようと、「私にはあるのよ かくされた力が ののしりも恐れない 生き延びてたその訳を 知りたければ 見せるわ今」と相手を見据え、力強く「タム!」と息子の名を呼ぶ。彼を殺してまでも、息子を守ろうとするキム。タムはキムの生きる力であり、夢であり希望なのだ。
表題の歌詞はこう続く。
「生まれたくないのに 生まれ出たお前が 苦しまないように 命もあげるよ」
この静かな決意が本当であることを私たちは後に知ることになる。母親の強さがひしひしと伝わる、低音の響きが印象的なナンバーだ。
実物大のヘリコプター、5メートルを超えるホー・チ・ミン像など、舞台セットの迫力はさすが。一つの役に3、4人がキャスティングされているので、どの組み合わせを見ようかと考えるのも楽しいぜいたくなミュージカルだ。
(根岸 華奈子)
=帝国劇場 11月23日まで=
◆「レ・ミゼラブル」に続いてC・マッキントッシュ、A・ブーブリル、C・M・シェーンベルクが組んだ超大作。89年初演。92年の日本初演では1年半のロングランを記録。
=2004年9月2日朝日新聞(東京本社版) 夕刊マリオンから
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