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2004.9.30(木)更新
 

明日は君たちのものだ。五十年後、百年後の日本を、
未来の若者たちよ、よろしくたのむ!

「南十字星」

「南十字星」
   死刑台に立つ保科勲
 太平洋戦争中、日本占領下のインドネシアに出征し、敗戦後戦犯として絞首刑を宣告された京大生・保科勲(阿久津陽一郎)の最期の叫びである。

 「南十字星」は、「ミュージカル李香蘭」「異国の丘」に続く、劇団四季オリジナルミュージカル「昭和三部作」の完結編。千人近い兵士が絞首台の露と消えたとされる、BC級戦犯の悲劇を描く。「昭和という時代の輪郭、日本人が世代を越えて語り継がねばならない想(おも)い」を訴えてきたシリーズの最後のメッセージは、こうして観客に投げかけられた。

 このセリフのあと、恋人のインドネシア女性リナ(樋口麻美)が歌う「ブンガワン・ソロ」の響く中、保科はゆっくりと真っ白な13階段を上ってゆき、あっけなく処刑される。

 インドネシアの活動家もオランダ人捕虜も、保科を身代わりに出頭させて独立義勇軍に取り入り軍事顧問となった義兄さえも、戦争という異常な状況の中、あっけなく死んでゆく。歴史はソロ河のように悠久に流れ、人間はその一滴に過ぎない。はかなく、それ故に大切だ、という保科の言葉と相まって、リナの歌う「ブンガワン・ソロ」は優しく、悲しい。

 敵の報復心を和らげるために死ぬことに誇りを持ち、「私の処刑に復讐(ふくしゅう)心をもってはならぬ」と娘を諭す、保科の元上官・島村中将の言葉も印象的だ。

(根岸 華奈子)

  =四季劇場「秋」 12月26日まで=


スタッフがインドネシアで調達した楽器による民族音楽ガムランの演奏、民族衣装をまとってのダンスは迫力がある。舞台中央に配置された水を生かした演出が面白い。

=2004年9月30日朝日新聞(東京本社版)
夕刊マリオンから

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