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おもろい女
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「飯塚部隊長様」と語る
森光子のワカナ
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希代の漫才師ミス・ワカナの生涯を描くこの舞台は、名作「放浪記」を持つ森光子のもうひとつの舞台の代表作。故・芦屋雁之助の役だった相方で夫の玉松一郎に段田安則を迎えて、6年ぶりの再演である。
見ていてついつい「放浪記」を重ね合わせてしまうのは、森が演じる林芙美子もミス・ワカナも共に自分の生きる道を追い求めて激動の時代を駆け抜けた女性だからだ。森自身、同じ時代を生きてきた。
その劇中、笑わせ一転、泣かせるのがNHK大阪局スタジオの場。
ラジオの生放送で、前半がテスト中の漫才「ワカナの放浪記」。本番前に臨時ニュースが入り、慰問先の上海で親切にされた飯塚部隊長(深江章喜)の壮烈な戦死を伝える。
本番。一郎が「住めば都と言いますが」としゃべり出すが、ワカナはぼうぜんとしている。促されて言い出すのが、飯塚部隊長のこと。
中断しようとする演出課員を課長が止めて、ワカナの語りになる。
ストーブが燃える部隊本部での2人のやり取りを思い出すように話すうち徐々に調子に乗ってくる。慰問先で兵隊たちが泣いた一郎が弾くアコーディオンの「ふるさと」のメロディーが流れ、涙声で「あの豪快な部隊長様」を言い終え、静かに頭を下げる。
真っ赤なドレス、ハンカチを手に森が、聞かせて見せて泣かせる。
(八月一日 教宏)
=芸術座 10月31日まで=
◆ミス・ワカナ 鳥取生まれ。14歳で漫才の世界に入る。玉松一郎とコンビを組み、方言を駆使したしゃべくり漫才で人気者に。終戦の翌年、覚せい剤中毒で急死。36歳。
=2004年10月7日朝日新聞(東京本社版) 夕刊マリオンから
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