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「菊畑」
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富十郎の鬼一法眼(右)と吉右衛門の 奴智恵内(弟の鬼三太)
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秋もたけなわ。兵法学者吉岡鬼一法眼の庭も菊が満開である。
気晴らしに庭に出た鬼一の第一声が、いかにも花を愛する人らしく、この美しい舞台を強く印象づける。
源平を時代背景にした「鬼一法眼三略巻」の中で、吉岡3兄弟が敵と味方に別れ、かつては源氏の兵法師範で今は平家の禄(ろく)をはむ長兄の鬼一が、兵法の虎の巻を渡すべき源氏の公達(きんだち)を探しているくだりが、通称「菊畑」。
目を奪う色彩の歌舞伎の舞台は多いが、「菊畑」の絵のような美しさは群を抜いている。
舞台一面の菊の花壇、紅葉も鮮やかに色づいている。そこへ登場するのが、奴(やっこ)の智恵内、座頭格の老け役鬼一、色若衆の虎蔵、典型的な赤姫の皆鶴姫、一目で悪と分かる湛海。華やかな役柄がそろう色彩の饗宴(きょうえん)である。
その上、今月は顔見世(かおみせ)で、吉右衛門、富十郎、芝翫、福助、段四郎と顔ぶれも一段と豪華だ。
鬼一が、菊の花壇はきれいに掃除したが、松や楓(かえで)の落ち葉は一興と思い掃かなかったという智恵内の話に軍法の奥義をみて、ドラマは本筋に入っていく。
大詰め、虎蔵を牛若丸、智恵内はその臣下と見抜いている皆鶴姫が、思いを寄せる牛若に激しく言い寄る。手にする小道具も菊一輪。珍しい菊も見た。ピンクの大輪である。
(八月一日 教宏)
=歌舞伎座 11月25日まで=
◆顔見世 江戸時代、江戸の劇場は毎年11月に役者と出演契約を更新、新しく契約した役者を紹介する意味で11月を顔見世と呼んだ。今はその呼び方だけが使われている。
=2004年11月4日朝日新聞(東京本社版) 夕刊マリオンから
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