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2004.11.11(木)更新
 

ここへ来て初めて、人にとって何が幸せかということを、
少しずつ分かってきたような気がしますわ

「マリー・アントワネット」

「マリー・アントワネット」
大地真央のマリー・アントワネットと
羽場裕一のルイ16世
 マリー・アントワネットが夫のルイ16世にいう「ここ」は、革命政府によって一家が幽閉されている塔の中の居間。子供たちや夫、妹と共に穏やかな時を過ごしていた彼女が、突然呼び出しを受けて部屋を出る夫に、しみじみ言う。

 栄華を極めた人間が、捕らわれの身になって初めて気付いた本当の幸せ。陳腐な教訓といえなくもない。だが、大地真央が主演するこの舞台で、作者はフランス革命で民衆の敵として処刑された王妃の真の人間性をそこに求めた。齋藤雅文作、マキノノゾミ演出。

 驕慢(きょうまん)な態度や浪費家ぶり、大浦龍宇一演じるフェルセン伯爵との恋も描かれるが、ここの部分が一番よかった。

 それには優柔不断なルイ16世を好演する羽場裕一の存在も大きい。

 「フランス国王でよかったことが一つだけあった。神様に、これは感謝していることが。うん、そう−−君に会えた」

 人間味あふれる別れ際の王の言葉である。そして子供も夫も失って神に問いかける強いアントワネットが大地にピッタリはまる。

 「私は、国民の苦しみを忘れ、奢(おご)り、贅(ぜい)を尽くした女の末路を、後の人々に教えるために生かされているのでしょうか。……だとしたら、私は、その罪深い、哀れな、悲しい女を演じきってみせますわ」

(八月一日 教宏)

  =新橋演舞場 11月27日まで=


マリー・アントワネット オーストリアのハプスブルク家の王女に生まれ、15歳で後のルイ16世と結婚。フランス革命で夫に次いで1793年、処刑。38歳。(筋書きから)

=2004年11月11日朝日新聞(東京本社版)
夕刊マリオンから

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