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「人情噺文七元結」
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菊五郎の長兵衛と新右近の娘お久
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左官の長兵衛は無類の酒好き、博打(ばくち)好きで、女房のお兼が我慢しているのも娘のお久がいればこそ。そのお久が、正月を前に家出した。吉原の角海老に奉公して家の借金を返すお金を用立てようとしたのだ。
角海老の女将(おかみ)はお久に免じて長兵衛に50両を貸す。ところが、長兵衛はその50両を、お金を無くして身投げしようとしていた手代、文七にやってしまう。
明治の落語の名人、三遊亭円朝の人情噺(ばなし)を脚色した菊五郎得意の出し物で、お久はこの舞台で二代目尾上右近を襲名した岡村研佑。
歌舞伎で天才と言われた子役は多いが、右近は登場して来ただけで客席をわかせる近年のまさに名子役。
冒頭に挙げたのは、角海老に迎えに来て事情を知り「こんな者でも親だと思うから」と泣いて手を合わせる長兵衛に言うお久のセリフ。親子の情が通い合う泣かせ所だ。
厳しい女将、かしこまる父に交互に目をやり、小声で「お父ッあん、お金」と渡して泣き合う所など、実にうまい。
右近は17歳というお久より下のまだ12歳。菊五郎のほか田之助、団十郎、左団次、海老蔵、菊之助ら出演者の「口上」も温かく、海老蔵は、2年前に右近から役者の道を選ぶべきかどうかの相談を受けて驚いた、と天才子役の一端を披露していた。
(八月一日 教宏)
=新橋演舞場 1月26日まで=
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「ぶんしちもっとい」と読む。尾上右近は、故六代目菊五郎の実子、二代目九朗右衛門の幼名。当代は七代目清元延寿太夫の次男で、祖母が六代目菊五郎の次女。
=2005年1月20日朝日新聞(東京本社版) 夕刊マリオンから
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