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「お登勢」
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沢口靖子のお登勢
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お登勢が津田貢に言う「数の足しにでも」は、尊皇攘夷(じょうい)派の役にたてないか、ということ。うぶな16歳の少女に、こんな突拍子も無いことを言われたら大抵の男ならまいる。
「私が好きか?」「津田様のことが好きです」と抱き合う2人。お登勢の過酷な人生が、始まる。
お登勢は捨て子で人形芝居の旅の一座で育ち、徳島藩の吟味役加納家に奉公に来て船で出会った津田に再会する。津田は藩の意向に背いて尊皇攘夷をうたう稲田家の家臣で、中でも急進派。京で新選組の襲撃を受け、傷ついて帰って来たところだ。
原作は船山馨で、「稲田騒動」の史実を編み込みながら、何事にも前向きでどこまでも津田を信じて生きる登勢と打算と魔性の女加納志津を対照しながら、激動の時代を描写していく。
お登勢と津田は、NHKの「金曜時代劇」でも同じだった沢口靖子と葛山信吾、志津が国生さゆり。脚本・飯島早苗、演出・水谷幹夫。
沢口の自然なセリフ、飾らない演技が役にはまって、加納の嫡男に求婚されて「恥ずかしいことですが、私は、娘ではありません」と断る所などもほほえましい。
それが、新政府に処遇されずに北海道に渡り、野性の馬を飼いならして生きていこうとする後半の感動的な強い女のお登勢にいきる。
(八月一日 教宏)
=芸術座 2月28日まで=
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芸術座は劇作家、演出家、プロデューサーとして活躍した菊田一夫が目指した演劇専用の劇場として57年に開場。3月で建て替えられ、「お登勢」は今の劇場最後の新作劇。
=2005年1月27日朝日新聞(東京本社版) 夕刊マリオンから
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