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2005.2.17(木)更新
 

ようく覚えておいておくれ、深川亭のおせつは、
お墓へ行く気で保栄堂の嫁になるのだから

「風流深川唄」

「風流深川唄」
 波乃久里子のおせつと風間杜夫の長蔵
 会席料理の老舗(しにせ)・深川亭の一人娘おせつと板前の長蔵がもうすぐ祝言という矢先、突然、おせつに別の結婚話が持ち上がる。父利三郎の善意が裏目に出て店が差し押さえられたところへ、おせつにご執心の成り上がりの小間物屋・保栄堂がお金を用立てると言い出してきたのだ。

 表題に揚げたのは、修善寺温泉に身を隠していたおせつが、迎えに来た長蔵に言うセリフ。最大の見せ場で、波乃久里子のおせつ、新派初出演の風間杜夫の長蔵。

 長蔵は、天保から百年以上続く深川亭を息子のせいでつぶしては「ご先祖様に申し訳ない」という母のお常に厳しく言い含められて来た。おせつも煮え切らない長蔵が別れ話をつけに来たと気づく。

 「初めて惚(ほ)れたお前さんに、これほどはっきり嫌われたら、思い切りよくあきらめがつく」と啖呵(たんか)を切ってはみるものの「お墓へ行く気で」といって、ひざまずいている長蔵を羽織でぶちながら泣き崩れる。

 久里子が見せる。一言一言区切りながらの言い回し、長蔵に背を向けた縁先の立ち姿、爆発するおせつの悲しさ悔しさ。この場ではしどころがないが、風間の長蔵もいかにも江戸っ子の板前で惚れ惚れする。

 利三郎の永久保一男、常磐津文字力の紅貴代、お常の青柳喜伊子、旅館の女将(おかみ)の小泉まち子らが純愛物語を盛り上げる。

(八月一日 教宏)

  =三越劇場 2月22日まで=


「風流深川唄」は、「鶴八鶴次郎」「明治一代女」と並ぶ川口松太郎の代表作。36年、花柳章太郎、大矢市次郎で初演。その後、初代八重子から現八重子、久里子が継承した。

=2005年2月17日朝日新聞(東京本社版)
夕刊マリオンから

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