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2005.3.24(木)更新
 

たとえ、どんなに怖くても、不安でも、
きっと行く先には幸福もあり、光に出会うかもしれない

「夢から醒めた夢」

「夢から醒めた夢」
   幻想的な夜の遊園地のシーン
 「夢は人生と同じだ」。物語の狂言回し、「夢の配達人」(下村尊則)の言葉はこう続く。

 夢の配達人に案内され、事故で幽霊になった少女マコ(木村花代)と一日だけ入れ替わったピコ(樋口麻美)。マコから預かった白いパスポートが、いつのまにか真っ黒のものにすり替わっていることに気づき、夢の配達人に助けを求める。闇の中から現れた夢の配達人は、今夢から醒(さ)めて物語を終わらせても解決にはならないとピコが夢を見続けることを決め、物語には何も手を出さずに消えてしまう。

 受験戦争に敗れて自殺した少年メソは、光の国へ行く白いパスポートをもらえない。霊界の役人に言わせれば、自殺なんて「贅沢(ぜいたく)だ」とのことだが、「試験に追われて300日」と苦しむメソの歌を聞いた後だけに、夢の配達人の言葉は心に響く。

 母親を1人残して死んだマコ、紛争や飢餓で命を落とした子供たち、天寿を全うした老夫婦……。途中で投げ出さずに夢を見続けたピコは、彼ら霊たちから「命を大切にして」「私たちの分まで生きて」というメッセージを受け取る。

 開演前のロビーパフォーマンスや、幻想的な夜の遊園地のシーンを見ていると、どこまでが舞台なのか現実なのか分からなくなってくる。劇場自体が「夢の空間」なのだ。まさに、夢の配達人の言葉通り。「劇場は夢を創(つく)りだし、人生を映し出す大きな鏡です」

(根岸 華奈子)

  =四季劇場「秋」 6月19日まで=


赤川次郎原作、三木たかしら作曲の劇団四季オリジナルミュージカル。87年の初演以来リニューアルを重ね、上演回数は750回を超える。

=2005年3月24日朝日新聞(東京本社版)
夕刊マリオンから

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