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根岸(3) 笹乃雪〜子規庵

 根岸といえば、年配の人ならまず「根岸の里の侘(わ)び住まい」、子規庵、そして豆富料理の笹乃雪などを思い浮かべるのではないか。

等身大の林家三平さんの写真が、「どーもすいません」と出迎えてくれる三平堂
(写真・横田正大)

 子供のころ、大人の会話の中で「豆腐のコースがある」この笹乃雪の存在を小耳にはさんだときは(なんと素適な!)と、店の名とともに、まだ見ぬ料理に憧(あこが)れを抱いた記憶がある。

 笹乃雪は、JR鴬谷駅北口、言問通りを渡ってすぐ、根岸小学校の向かいにある。店の構え、入れ込みの広い座敷の雰囲気など、いかにも昔ながらの料理屋といった風情がうれしい。

 ところで、この笹乃雪など10の老舗(しにせ)では、「ねぎし散策地図」が入手できる。

 根岸は、いわゆる町おこしの気配すら感じさせない町なのだが、唯一この散歩地図が、根岸という隠れ里(と私には感じられる)を、外部にアピールするメディアとなっている。
 林家こぶ平といっ平が案内する、という編集がされている地図、これがまたやたらとくわしく、便利でかつ、読んで面白い。

 ただし、この地図には現実にある林立するラブホテルの存在が省略されているので、まったく初めての人が、この地図を頼りに、子規庵や、そのはす向かいの書道博物館を訪ねようとすると、赤面することとなる。

 愛の館群をなるべく避けて行きたいなら、次のようなコースをおすすめする。

 出発点は笹乃雪。日暮里方向へ尾久橋通り左側を3、4分行くと、細い路地の入り口にねぎし三平堂への表示が出ている。
 その三平堂の前をそのままぐるりと、左にまいて歩いてゆく。
 すると細い裏道を通過して書道博物館の前に至る。そして、そのすぐ先、右の民家が子規庵となる。
 つまり、三平堂と書道博物館は背中合わせに建っているというわけ。なに、一巡しても5分ほど。

 土地勘がつかめたら改めて三平堂から、3館めぐりをじっくりと楽しもう。

→ 根岸(4)鍵屋へ へ

坂崎 重盛 (エッセイスト・題字も)



2002年12月4日付 朝日新聞(東京本社)「マリオン」から
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