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神楽坂(2) 神楽小路周辺

 神楽坂上り口の神楽小路はやっぱり素通りできない。レトロなゲートの看板が(ここはおもしろい横丁ですよ)と、手招きしているからだ。
 甘味の紀の善の脇の横丁、神楽小路には食べ物屋や飲み屋が軒を連ねる。

 それぞれが常連さんを抱えている店だが、噂(うわさ)の店となると、もー吉。この店には今、メジャーで活躍するMが、たった1人でやってきていたという。なるほど、東京ドームも近いし。
 その少し先の、そばの志な乃は、昼どき飯田橋、九段からも客が足を運ぶ店。

 向かい側に、今度は戦後丸出し(?)のうれしい文字で「みちくさ横丁」とある。
 なじみの店がなくて、この横丁に入ってみようとする人は、かなりの散歩力のある人ではないか。
 たしかに、この横丁にある店は、常連度が非常に高い店ばかり。フラリと入って、楽しめるか否か、それは客の責任ともいえる。

昼はそば屋で七味や割りばし、夜はワインバーに変身するカウンター。女性も入れる店だ 
(写真・横田正大)

 しかし、私は小料理の土筆に出版関係の人に連れていってもらったことがあるし、奥、右手のジャズのコーナーポケットには1人ででも闖入(ちんにゅう)する。
 この店は昔のジャズ喫茶風の、イージーで雑然たる雰囲気が捨てがたい。極めてドロップアウト度の高いイメージがある。

 さて、ここで行き止まりか、と思うと、実は、ここから表の外堀通りに抜け出る方法があるのだ。

 ただし、道ではない。

 奥の突き当たり左に、おや、こんなところに、こんな洒落(しゃれ)た店が、と思われるワインの店、LE TRAIN BLEU(ル・トランブルー)がある。
 この店の中を通ると、反対側のドアは、外堀通りに面しているのだ。
 だからこの店に人を連れてゆくときは、わざとディープなみちくさ横丁から入って外堀通り側から帰る。
 この、リーズナブルで人気のワインバー、もう一つ二面性があるのだが、それは……写真説明のごとし。

→ 神楽坂(3) 熱海湯周辺 へ

坂崎 重盛 (エッセイスト・題字も)




2003年4月16日付 朝日新聞(東京本社)「マリオン」から
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