asahi-mullion.comのロゴ
トップページ  ■サイトマップ  ■検索ページ

バックナンバー
神楽坂(4) 本多横丁

 神楽坂の町の魅力は、なんといってもいまだに花柳界が残っていることである。
 宵やみ迫るころともなれば、お座敷に向かう芸者衆と、すれちがうこともある。

  私の経験では、そのチャンスがもっとも多いのが、ここ本多横丁である。

夜のネオンがともるころ、急ぎ足で行く和服のお姐(ねえ)さん。花街らしい雰囲気が横丁に漂う 
(写真・横田正大)

 神楽坂を上ってきて右側、中華まんじゅうで有名な五十番の角を右手に曲がれば本多横丁。
 横丁に入ってすぐ左の、うなぎのたつみやは、ジョン・レノンとオノ・ヨーコがお忍びでやってきたという店。
 この二つの店は、ちょっとした町通なら先刻、ご承知の店だろう。

 それにしても、本多横丁の、この飲食店の賑(にぎ)わいはどうだ。和食あり、郷土料理あり、焼き鳥屋あり、フレンチあり、寿司(すし)屋あり。

 もちろんバーもある。高級ワインを、懐かしのLPを聞きながら味わえる(2階)や、こちらは対照的に、すべてのワインがオール500円のもある。
 CもKも店主が、しっかりとポリシーを持っているので、酒飲みの甘えや勝手は許されない。

 その先右手のFingal(フィンガル)はワインの品ぞろえもいいが、カクテル好きに評判の店である。

 ところで、本多横丁の左右には迷路のように路地が走る。

 その一つには、割烹(かっぽう)料亭の奥に、まさしく隠れ家的な一軒家のバーがある。
 しかし一見の客が、こういう、行き止まりの細い路地にまで、ぞろぞろと入ってきては迷惑と思うので、場所は明かさない。

 神楽坂は、奥になればなるほど“大人の雰囲気”を大切にする町なのだ。路地・横丁歩きはくれぐれもマナーに気をつけたい。

 私は月に何回かは、本多横丁に面したKのカウンターに陣どり、ガラス越しに道行く人の姿をながめながらグラスを傾ける。
 とくににわか雨の時の通りの様子など捨てがたい。

→ 神楽坂(5) 仲通り周辺 へ

坂崎 重盛 (エッセイスト・題字も)




2003年4月30日付 朝日新聞(東京本社)「マリオン」から
asahi-mullion.comのトップページへ
asahi-mullion.comトップページへ

このホームページ(asahi-mullion.com)についてのご意見や情報提供は
mullion-hp@asahi.com

朝日新聞のマリオン紙面への掲載や問い合わせなどは
郵便番号104-8011 朝日マリオン21−マリオン編集部
(TEL03-5540-7411 FAX03-3545-0525)
Eメールはmullion-ppr@asahi.com

asahi-mullion.comに掲載の記事や情報、写真の無断転載を禁じます。
すべての内容は日本の著作権法並びに国際条約により保護されています。
Copyright 2004 Asahi Mullion 21. All rights reserved.
No reproduction or republication without written permission.