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神楽坂(5) 仲通り周辺

 神楽坂を案内して自慢できることの一つ、それは、この町にはまだ石畳の路地が残っていること。

 石畳の道は、晴れてよし、また雨の日も美しい。神楽坂の石畳を歩こう。

仲通りの中ほど。路地をのぞくと、住民が打ち水した石畳が夕闇に光っていた 
(写真・横田正大)

 神楽坂下から坂を上り、右手、ロイヤルホストの手前の横丁を右折する。仲通りである。

 この道の左側にはズラリと飲食店が並ぶが、薬膳(やくぜん)中華の一品香の向かいの路地の奥、ル・クロ・モンマルトルは“神楽坂にあるパリのビストロ”として女性誌にもよく紹介される店。

 仲通りに戻って、そのまま進めば軽子坂の通りにぶつかり、その左側にある広いレストランが、トスカーナ地方料理のソリッソ

 その、ソリッソの少し手前、寿司(すし)の勘せいと小料理・なつの間に、細い路地が走る。
 路地・横丁好きにはこたえられない、魅惑的な細道である。しかも、石畳!

 路地に入ってすぐ右手にバーStone Pavement(ストーン・ペーブメント)の看板が見える。看板の一面には「甃」の文字が記されているが、これは「いしだたみ」のこと。

 この路地、いかにも“お忍び”風にひっそりとはしているものの、古町・神楽坂の典型的な町並み風景として、よく雑誌やテレビで紹介されたりする。
 高級感のあるお座敷天ぷらの天孝や、予約なしでは入店不可のお茶漬け・おにぎりのわかまつ、という名物店のたたずまいが、実に絵になる路地なのだ。

 この道をさらに進むと、高い黒塀が現れる。石畳と黒塀−−まさに色街ならではの雰囲気。

 道の突き当たりの店、越野は、「今日はちょっと張り込んで、おいしい肴(さかな)とお酒を」という時にはふさわしい店と思う。
 広いカウンターのすぐ向かいで包丁さばきが見られるのも気持ちいい。

 越野の右隣の黒塀ぞいに歩き、路地を左に進むと、横丁に出る。そう、本多横丁に出たわけだ。

→ 神楽坂(6) 毘沙門天周辺 へ

坂崎 重盛 (エッセイスト・題字も)




2003年5月7日付 朝日新聞(東京本社)「マリオン」から
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