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日本橋(3) 名建築巡り

 この日本橋周辺、すでに紹介した、高島屋が昭和8年の建築、そして日本橋が明治44年、いずれも日本の土木・建築史に残る名作といわれているが、この他にも見るべき名建築が点在している。
 美術館の中の名画を鑑賞するような気分で、街の中の名建築を巡り歩くのもおもしろい。日本橋周辺は、それが可能な街である。

 金融関係の建物とデパートの店舗は西洋建築の粋を競うように建てられた。
 日本橋の南、交番先の野村証券本社は昭和5年の建造。下部は石壁、中層部はれんがタイル張り、上層は白色のプラスター塗りという、モダンな3層様式。

 三越本店の細部の美しさも注意ぶかく観察したい。もともと、ここ三越は大正3年に日本初のエスカレーターの設備で話題となる新店舗を建設、東京名所として絵はがきにもなるほどの話題を呼んだ。
 この建物が大正12年の関東大震災で被災、昭和2年に今日の三越として改築される。そのエレガントなデザインは今日の建築では見られないものである。

 三井本館(昭和4年)は、まるでギリシャの神殿を見るかのような荘厳さである。列柱はコリント式と呼ばれる古典的なデザイン。
 しかし工法は、当時もっとも新しい建造法であった鉄骨鉄筋コンクリート造りというもの。

ヨーロッパの城や館を思わせる日本銀行本店。御影石の壁面が荘重な格式を感じさせる 
(写真・横田正大)

 この建物に競うように、しかもさらに貫録を示しつつ建つのが、日本銀行本店である。
 ルネサンス様式にネオバロック風の手法を加味したといわれる、明治29年築造のこの建物の前に立つと、明治の西洋建築の底力を見せつけられた思いがする。
 これら日本近代の西洋建築は、当然のことながら文化的な遺産でもあるのだが、これが往々にして、あっという間に消えてなくなる。
 まさに「無常都市」東京、西洋建築散歩も、できるうちにしておきたい。

 

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坂崎 重盛 (エッセイスト・題字も)




2003年10月8日付 朝日新聞(東京本社)「マリオン」から
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