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銀座(2) 7〜6丁目へ

 銀座は江戸前寿司(ずし)の激戦区であり、8丁目にも並木通りからちょっと路地に入った小笹寿しや金春通り沿いの久兵衛などがある。

 といっても、小腹がすいたので通りがかりにふらりと、というには少しばかり敷居が高いとなれば、やはりそば屋。

 金春通りの金春湯の少し先、7丁目にコロッケそばで知られるよし田がある。
 昨今の、妙に「こだわり」を主張する通ぶったそば屋などではなく、店構え、接客、そして味も、典型的な下町のそば屋である。
 しかし、この店には小津安二郎をはじめ東京の味を求める食道楽の面々が通いつめている。
居酒屋風で気楽に過ごせる、よし田。名物のコロッケそばは鳥ミンチを揚げた和風味 
(写真・横田正大)

まだ明るいうちから杯を傾ける客の姿が多いのも、須田町の神田まつやや、室町砂場同様、いかにも、よき下町のうれしい光景。

 そばの後には甘味を、と最中の老舗、空也をめざしてもまず入手はムリだろう。最中などというものは、ふと気が向いたときに、人数分の5、6個をと思いたいのだが、ここの最中は予約でなければ、ほとんどありつけない。
 文士の誰だかがくやしまぎれに「これじゃクウヤ食わずじゃないか」と言ったという逸話があるほど。

 老舗の味は食べなければ味わえないが、老舗の「物」は見るだけでも楽しめる。銀座は紳士、奥様の高級小物の町でもある。
 7丁目、花椿通りには田屋、6丁目中央通り沿いには、銀座かねまつ銀座くのやタカゲンといった店が軒を連ねる。

 銀座で人と会うときなど、和装小物のくのやをのぞき、めでたい柄の手ぬぐいやタオルを買って、ちょっとしたプレゼントにする。

 タカゲンは、傘とハンドバッグの店だが、実は日本を代表するステッキの店でもある。店内には婦人物はもちろん、これぞ紳士御用達というすばらしいステッキがそろっていて、銀座の「底力」を見る思いがする。

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坂崎 重盛 (エッセイスト・題字も)




2004年1月21日付 朝日新聞(東京本社)「マリオン」から
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