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月島(2) 路地に入る

 月島西仲通り商店街、もんじゃの香りと看板に気を取られがちだが、一軒一軒ながめて歩くと、ここが古い商店街であることがわかる。
 「三味線・江戸小唄教室」の看板が出ていたり、襖(ふすま)張り替えなどの経師店もあったりする。いわゆる街の本屋さんが健在なのも下町の商店街ならではのことか。

 ところで、この月島の街歩きの、なんとも楽しいのは西仲通り商店街の左右の路地に入ってゆくことではないだろうか。
 もちろん、路地の奥にももんじゃの店の灯がともる。

 しかし、もんじゃばかりではない。牛もつとおでん、すべて80円のげんきという店がある。本来は持ち帰りの店なのだろうか酒類は置いていない。店の前の小さなカウンターで、客は近くの酒屋から買ってきたビールやワンカップの酒を飲みながら店の人と冗談のやりとりなどしている。場所は月島3番街、もんじゃの人気店の一つ、錦・一の向かいの路地の中。

ビルの奥まったところに観音様。お参りしてからエレベーターで2階の月島温泉に 
(写真・横田正大)

 月島の路地といえば、月島開運観世音を忘れるわけにはいかない。以前は路地の奥に赤い提灯(ちょうちん)が下がる、いかにも土地っ子のための観音様という感じだったが、今はマンションの“奥の院”という風情となった。

 この観音様にお参りしてふと右側を見ると、エレベーターの脇に堂々たる月島温泉の看板が。
 散歩の途中で銭湯に入れれば、その散歩の“完成度”はかなり高い。散歩のほどよい疲れと、ひとっ風呂浴びた後のビールの味はなんともいえないからだ。
 入浴料400円とタオル代100円を払って月島の銭湯を楽しむ。この銭湯、午前中の11時から入れる。今度はもっと早い時間に来て、「小原庄助」気分を味わってやろうと思う。

 銭湯に入って体が軽くなる。さて、これから居酒屋をのぞいて見るか、佃島まで足をのばすか。

坂崎 重盛 (エッセイスト・題字も)




2004年3月10日付 朝日新聞(東京本社)「マリオン」から
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