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柴又周辺(1) 柴又へ

 柴又――『男はつらいよ』の、寅さんの“故郷”、そして帝釈天のあるところ。

 私も東京の下町生まれながら、実は子供のころ、柴又ははるかかなたの「田舎」と思っていた。
 「矢切の渡し」といった渡し船が、ずっと残ってきたことからも、町という感じは受けない。もちろん、同じ、下町というイメージもなかった。

 今日も、京成線、高砂から柴又を結ぶ線(金町終点)は午前の10時から午後の4時台までは、1時間に3本しか運行していない。
 しかし、柴又は、一挙に代表的な「下町」となった。もちろん、寅さんの影響である。柴又駅から柴又帝釈天に至る参道も、観光客でにぎわい、活況を呈している。
 観光バスで大挙してここに来る団体客も多く、例のガイドさんの旗の下、1日の行楽を楽しむ人たちが行き交う。

柴又駅を降りると寅さんワールドの始まり。目を細めて微笑みかけて来る 
(写真・横田正大)

 私は、春の柴又が好きだ。枯れ草の土手から緑に変わる季節となると、柴又に行ってみよう、と思う。

 柴又へは、先の京成線を利用することが多いが、高砂で乗り換えるとき、駅の時刻表を見て、待ち時間が長ければ高砂駅から柴又駅まで歩いてしまう。柴又まで一本道で、歩いても15分ほどの距離なのだ。

 いかにも葛飾の商店街といった雰囲気の道筋を歩いてゆくと、帝釈天に至る少し手前左に、柴又八幡神社がある。
 最近、ここに古墳時代の遺跡のあったことがわかったというが、高砂から歩かなければ見過ごしてしまうスポットだろう。

 さて、柴又駅。この駅前がなんとも“田舎の観光地”的な、こぢんまりとした良さがある。コーヒースタンド、焼きそば屋、お茶屋さんなどが広場をぐるりと囲うように輪を作っている。
 その中ほどに立つのが寅さんの銅像。この駅に降り立った人たちは目を輝かせて、この銅像の近くに歩み寄り、記念撮影をする。

→ 柴又周辺(2) 帝釈天へ へ

坂崎 重盛 (エッセイスト・題字も)




2004年4月7日付 朝日新聞(東京本社)「マリオン」から

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