待ちに待った季節だ!
大きく深呼吸して空気をいっぱいに吸い込む。独特の透明感のあるにおいがする。胸がきゅんとなる。
季節の中で秋が一番好きだ。生まれた月が秋だから? 周りの人に好きな季節を訪ねると、誕生日の頃の季節を答える人が多いように思う。
もう何年も前から、季節に合わせてテーブルクロスを替えている。ファッションと同じように少し季節を先取りして、9月に入ると残暑が厳しくても、もう秋のクロスに替える。
テーブルクロスを1枚替えただけで、食卓の雰囲気はがらりと変わる。なぜなら表面積が広いから。
一番簡単で楽な方法だ。これだけで、同じ食器を使っていても、全く違う印象になる。いろいろな種類の食器を集めるより、数枚のテーブルクロスを持っている方が賢い選択だと思う。
20年かけて買い集めたり、オーダーしたりしたクロスが料理教室と自宅の引き出しにしまってある。好きな色やイメージは年によって変わるが、秋は枯れ葉色やボルドー、冬は暖色系、春はピンクやオレンジで華やかに、夏は涼しげなブルーやグリーン系を選ぶことが多い。
どうしてもその場で買ってしまいたくなるような、そんなすてきなものを日本で見つけるのはなかなか難しい。その点、ヨーロッパをはじめ、海外にはいいものがいっぱいなので、行く度に増えていく。
今年の秋のイメージで選んだのはフランス製のジャカード織りで、イチョウの葉を思わせる山吹色と紫のもの。
色の組み合わせが絶妙にしゃれていて、5年前にひと目ぼれをして購入した。このクロスをテーブルにかけた時から私の秋は始まる。
(料理研究家:井上絵美 撮影:八木澤芳彦)