料理をしていて、あまりの色の美しさに、つい手を止めて見入ってしまうことがある。
グレープフルーツを切ったとき、予想以上にルビー色が美しいのに驚いたり、ブロッコリーをゆでていて、お鍋の中のその緑色が増した瞬間に感動したり。料理をしながら美術鑑賞をしているようで心が豊かになり、大地の恵みを感じ、食材を大切にする気持ちも強くなる。
最近、この気持ちを体験したのは、蒸しナスを作っていたとき。料理教室のデモンストレーションで、冷製パスタのソースにする蒸しナスを用意した。今回は蒸し器を使わず、電子レンジで作る方法を紹介した。
うちの料理教室の皆さんは本当にわがまま。なるべく楽をして、とびっきりおいしいものを作りたいと思う人ばかり。そんな皆に、この作り方は大変ウケた。まず、ナスのへたを切り落とし、ピーラーで皮をむく。ラップに空気を入れないようにきっちり包み、レンジで加熱する。ナス2本で5分が目安。すぐにラップごと冷水にとって冷やし、ラップから出すと、碧(みどり)が増して、美しい翡翠(ひすい)色に。手で裂きながらほれぼれしていた。かつお節とショウガじょうゆでいただくのもおいしいが、ひと手間かけて土佐酢ゼリーを作ってかければ、さらに気の利いた一品に。
美しい色にするためには、鮮度のいいナスを使うこと。そして、よく切れるピーラーを使ってください。手軽なのでしょっちゅう作ってしまいますよ。
(料理研究家:井上絵美 撮影:中本徳豊)