無い物ねだりという人間のわがままな習性か、お正月こそ西洋料理が食べたくなる。おせちや和食に飽きた口が、洋風の煮込みやパスタを求めるのだ。
だから私はここ数年、正月客のテーブルには牛ほお肉の煮込みやバジリコのスパゲティなどを並べる。そんなときに心掛けるのは、何か和を表現出来るものを使うということ。たとえばスパゲティを伊万里の皿に盛ったり、煮込みの付け合わせを和の素材であるレンコン、大根、水菜にしたり。
来年使おうとひそかにあたためてきたものがある。何で新年の特別感と日本のお正月を表現するかというと、黒のお敷き。黒の地に銀色でハーブ柄をあしらったものだ。
洋風のお皿に似合うお敷きがどうしても欲しかった。探し回ったが、朱や金が使われた和風なものしかなくて、手持ちの洋食器を載せると違和感がある。
黒に銀を使って都会風でかっこいい漆器が欲しい。でも世の中にない。だったら自分で作るしかない! ということで石川県の漆器メーカーに頼んだ。
これが、なかなか思うものが出来なかった。何度もやり直してもらって、1年がかりで思い通りの物が出来上がった。この自慢のオリジナル漆器に、白に銀のふちの洋皿を組み合わせ、ナイフ、フォークのほかにお箸(はし)も添える。
いつもはメニューから決めるのだが、今回はテーブルコーディネートから決めてしまった。さて、この組み合わせに合うお料理、何にしようか?
(料理研究家:井上絵美 撮影:中本 徳豊)