お鍋の季節だ。鶏好きな母のために、つくね鍋やきりたんぽ鍋なども作るが、もっと手軽にしたいとき、大変助かるものがある。
それは福岡から取り寄せる「かしわ水炊き」。軟らかくなるまで煮込んだ骨付きの鶏肉が、うまみたっぷりの白濁スープと一緒に缶に入っている。
缶を開けて鍋に入れ、同量の水を加えて煮立て、私はまずスープを日本酒のおちょこに入れて、自然塩を少し溶かして飲む。
味見はどこの家庭でも料理を作る人の特権。コラーゲンたっぷりの鶏のスープが体にしみ渡る。もうちょっと飲みたいが、後の楽しみのために1杯で我慢。普段はキッチンに寄りつかない母も必ずやってくるので、1杯入れてあげる。
それから食卓に移って水炊きだ。いろいろな食材を試したが、絶対外せないものはシュンギクとネギとシイタケ。下仁田ネギや九条ネギがあればさらに良い。ハクサイや豆腐もよく入れる。
私はポン酢やユズコショウでいただく。そして、水炊きの後のお楽しみは雑炊かうどん。雑炊のときは洗ったご飯を入れ、卵でとじ、刻んだ青いネギをたっぷりかける。
鶏のうまみと野菜をたっぷり楽しめた満足感、体がきれいになっていくような期待感。「日本の冬はやっぱり鍋よね」と、母とほほ笑み合う。ちなみにこの料理は、母と私の2人だけのときのお楽しみ。なぜならば、この1缶は2人でスープ、水炊き、雑炊と楽しめるちょうどいい量なのです。
(料理研究家:井上絵美 撮影:中本 徳豊)